「めんどくさくないの?」「よくやるね」「全部誰かに任せちゃったらいーんじゃない?」などのご意見は頂戴するが、これがそんなに苦にならないのだ。帳簿づけしてると没入してしまいアドレナリンが出てハイになってくるし、スケジュールをパズルの如くはめていくのが楽しくて仕方ない。経理やマネージャー業務が向いてるのかもしれない。

 もし将来私が不祥事かなにかで高座に上がれなくなったら、誰かほかの落語家の事務所をやろうかと思うのだがどうだろう。脛に傷持つ元噺家を誰か雇ってくれないだろうか。全て手書きのアナログおじさんだけど……。

本当の内職

 そんなことをツラツラ書いていたら時刻は10時になり、やっと郵便局が開いた。85円切手を200枚購入し、部屋に戻り立春大吉の挨拶葉書に切手を貼りまくる。プリプリと切手を切り取る感触がたまらない。水を含ませたスポンジに浸して真っ直ぐに貼り付けるのが楽しい。あぁ単純作業はなんて気持ちよいのだろう。ときどき内職がしたくなってくる。芸人やタレントがいう「内職」でなくて、昔の主婦がやっていた本当の内職。封筒貼りとか、造花のバラを作るとか……。

 本当に今の仕事が自分に適しているのか、疑わしくなってきた。もっと向いてる仕事がほかにあるんじゃなかろーか……そんなことを思いつつ、そろそろ本へ発つ時間になった。葉書の切手貼りはすべて完了。明日ポストに入れれば、いい塩梅なころに着くだろう。

 今日も落語を喋りに出かける。みぞれは止んで、ちょっと日が差してきた。熊本まで車で2時間。今日もとりあえず手帳を開いてメールの返信をする。そしてこの時間が、なかなか楽しい。

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