落語家・春風亭一之輔さんが連載中のコラム「ああ、それ私よく知ってます。」。今回のお題は「副業」。
現在、私は地方都市のホテルに宿泊中。日がよいのか、結婚式の予定がずいぶん入ってるようだ。それにしてもめちゃくちゃ寒い。みぞれがぱらついている。寒波が来ているこんな日に、肩を出したドレスなどを着て中庭で写真撮影してる新郎新婦を想像しただけで金玉が縮み上がる。人生の門出に風邪をひかないで欲しい。幸多かれ。
「副業」といわれてすぐに頭に浮かんだのは結婚式の司会だ。落語家がけっこうやる副業。それでも最近は少なくなったらしい。私も二つ目のころに5〜6件やった程度。決まったことをちゃんと言わなきゃいけないし言っちゃいけないこともあったりで、基本的に苦手。向いてないうえに司会をした新郎新婦の顔を一組も思い出せない。我ながら薄情なものだ。
昔は落語の仕事がなくても司会やパーティーの営業などで食いつなぐ落語家も多かったそうだ。もっとも喋る商売だから司会も本業の勉強にはなるだろうが、落語の仕事のほうが多い今の若手は恵まれていると思う。
アナログおじさん
さて、今日もありがたいことにこれから落語のお仕事なのだが、その前に宿泊しているホテル近くの喫茶店でこの原稿を書いている。
2日前から九州公演で東京を離れている。仕事の合間にホテルと楽屋での空き時間を使って、正月に届いた年賀状の返事を約200枚書き上げた。アナログおじさんなので宛先は手書きだし、一言添えるとかなりの労力。でも立春に届くようにするには、毎年のこのツアーの空き時間が重宝する。