未分別ごみや事業系ごみが積み上げられたごみ集積所(福島市提供)

改善なければ開封調査

 ルール違反のゴミがあった場合、回収業者がシールを貼り警告する。それでも是正しない場合、開封調査をするとの警告シールをあらためて貼る。一週間待って改善がない場合、開封調査を行う。

 違反者に改善勧告の文書を渡し、違反を続けた場合、名前を公表する可能性を伝える。それでも改善が見られなかった場合、その理由などを聴取したうえで、悪質と判断された場合は事業者名や氏名を公表する。

 福島市によると、同市の一人当たりのごみ排出量は全国平均より高い状態が長年続いている。

「ルールに少し違反していても回収していて、そうした『緩い』状況が続いたことで、個人を含め福島市ではゴミ分別への意識がなかなか育たなかった側面があります」と担当者は振り返る。

カラスによる被害を受けるゴミ集積所(福島市提供)

繁華街周辺で町内会や住民が苦慮

 特に問題なのは、福島駅周辺の繁華街などで、家庭ごみの集積所に事業ごみを出す飲食店などがあとをたたず、町内会や住民が困らせられ続けてきた実態がある。

「大量の生ごみをカラスがあさって周囲に散乱し、景観や悪臭などの被害が続いてきました。違反だからと放置することもできず、町内会や市が対応に追われてきました」(担当者)

 そもそも事業ごみを家庭ごみとして出すのは、廃棄物処理法に違反する行為だ。

 担当者は、事業者に関して違法行為のため、厳しい姿勢で対応することになるだろうとしつつ、個人名の公表に関しては慎重姿勢だ。

「高齢で分別が上手にできないなどの可能性もあり、個人個人の事情を面談などで把握したうえで判断したいと考えています」と話した。

 氏名公表に実効性はあるのか。自治体が個人名をさらすことに問題はないのか。

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できれば公表したくない