イラスト:サヲリブラウン
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 作詞家、ラジオパーソナリティー、コラムニストとして活躍するジェーン・スーさんによるAERA連載「ジェーン・スーの先日、お目に掛かりまして」をお届けします。

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 2025年最初の講演は、雪深い秋田で。お声を掛けていただいたのは、1月の秋田がどれほど寒いか想像もつかなかった、熱帯夜続きの去年の晩夏でした。

 年が明け、さすがに東京も寒さが厳しく感じられる日が続きました。講演会用のレジュメを作りながら、豪雪で新幹線が止まったりしないかしら?と不安になったり、美しい雪景色の東北を見る絶好のチャンスだと期待に胸を膨らませたり。

 講演会当日、朝8時台の新幹線に乗車するため、平日より早起きをして支度を済ませ、ダウンコートを着て外に出ました。厚着をして出てきたはずなのに、なんだか寒い。寒いというより、体が芯から冷えてしまっている。これでは風邪をひきかねないと、使い捨てカイロをおなかに当てました。

 ホットカフェオレを片手に新幹線に乗車し、座席でじっとしていたものの、大宮を過ぎても体の芯の冷えはとれません。特に背中の上のほうと下半身の冷えが気になります。なるほど、ならばアレをやるしかない。

 私はスクッと立ってデッキに出ました。幸い人は見当たりません。よし、やるわよ!

イラスト:サヲリブラウン

 誰かこないかキョロキョロしながら、その場でスクワット20回。少し広めに足を広げ、膝が前に出ないようお尻を突き出して深く深く沈み込みます。これでもう大丈夫。

 予感は的中し、その後はグングン体が温まってダウンコートを着たままでは汗ばむほど。すべては血流なのだ。

 1週間前から縄跳びも始めました。こちらは日本武道館公演に向けて心肺機能を上げるため。小分けにして1日トータル500回でも、階段を上るときに息切れしづらくなりました。怪我には十分注意しなければならないけれど、中年に必要なのは、やはり適度な運動なのだと改めて痛感。継続がなによりのネックですが、中断する時期があってもヨシ、騙し騙し手を替え品を替えやっていくのが吉。

 秋田での講演は、来場者のみなさんが熱心に耳を傾けてくださって大成功。大量のお土産を抱え、車窓からの美しい景色を味わいながら帰路につきました。

 そして翌日。激しい筋肉痛が襲ってきた! 真面目に筋トレをやっていたときには、スクワット20回でこんなことにはならなかった。筋肉も心肺機能も、鍛えなければ衰える。体は本当に正直です。

AERA 2025年2月3日号

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