山本佳奈(やまもと・かな)/1989年生まれ。滋賀県出身。医師
この記事の写真をすべて見る

 日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「季節性インフルエンザ」について、鉄医会ナビタスクリニック内科医・NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。

【病院ランキング】子宮・卵巣がん手術数が多い病院1位~40位はこちら(全4枚)

*  *  *

 季節性インフルエンザが日本で猛威を振るっていますね。昨年12月29日までの1週間でのインフルエンザ患者数は、現行の統計開始以降、過去最多となる1医療機関あたり64.39人を記録し、43都道府県全てで、警報レベルの30人を超えたと報じ[※1] られています。

 1月5日までの1週間におけるインフルエンザ患者の報告数は、1医療機関あたり33.82人と大幅に減少したものの、これは年末年始の連休に伴い、休診だった医療機関も多かった影響で一時的に患者数が減少した可能性が指摘されています。日本では、例年12月から3月にかけてインフルエンザが流行するという季節性[※2] を考慮すると、まだまだ感染拡大が続く可能性は高いため、体調管理に気をつける必要がありそうです。

 アメリカ国内でも、季節性インフルエンザの流行は高い状況が続いています。アメリカ疾病予防管理センター(CDC[※3] )の報告によると、2025年1月4日までの第1週に、全国の臨床検査機関で実施された検査結果のまとめによると、インフルエンザ陽性だった検体の割合は18.6%であり、そのうち97.4%がインフルエンザA型だったといいます。

アメリカでも流行中

 またCDCは、この陽性率は前週と横ばいではあるものの、インフルエンザの流行がピークに達したことを示すものではなく、クリスマス休暇中の医療機関への受診の減少などの変化による可能性があることを指摘し、「アメリカ国内では、依然としてインフルエンザの流行が今後数週間は続くだろう」と予想していているのです。

 さて、昨年11月初旬から徐々に流行し始めたインフルエンザ。サンクスギビング休暇直前の11月中旬のことです。ある日の朝、夫の体調が悪くなりました。何度鼻をかんでも、鼻水が止まらなくなり、喉が痛いと言い始めたのです。次第に、寒気や軽度の頭痛、倦怠感などが出現したものの、仕事はなんとかこなすことができたため、「普段の風邪だろう…」と思った夫は、休みを取ることなく、オンラインでの会議などを普段通りこなしていました。

次のページ
たくさん寝ても改善しない