タレントの中居正広さん(52)が公表した女性トラブルに、フジテレビ社員が関与していたという疑惑を掲載した週刊誌報道を受け、同社の港浩一社長は17日、記者会見を開いた。だが、その会見の様子が報じられるやいなや、SNS上では「形だけの会見」「穏便に済ませたいとしか思えない」など批判の嵐となった。フジテレビの会見は、なぜ世間の不信感をあおり、火に油を注ぐ結果となったのか。企業コンプライアンスに詳しい郷原信郎弁護士に、会見の問題点を聞いた。
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今回の会見について、郷原氏は「そもそも会見と呼べるものではなく、単なる説明会だった」と切り捨てる。
当日招かれたのは、記者クラブに加盟している新聞社やテレビ局の記者のみで、雑誌やネットメディア、フリーの記者は締め出された。さらに、NHKや民放局記者は質問できず、ただ話を聞いている“オブザーバー”としての参加となった。
情報発信を生業とする立場でありながら、あえて、批判が予想される閉鎖的な会見を行った意図は何なのか。郷原氏は「厳しい質問にさらされるよりはマシ」という判断が働いたとみる。
「『これから調査委員会を設置するので、その調査結果が出るまでは何も話さない』という姿勢を貫く以上、いくら質問されても答えようがない。はぐらかしたというマイナスイメージを極力持たれないようにするための戦略でしょう」
港社長は冒頭、「第三者の弁護士を中心とする調査委員会を立ち上げることとしました」と宣言したが、肝心の調査委員会メンバーについては発表しなかった。
記者との質疑応答の中では、「非常に、第三者委員会に近い、独自性専門性が高い人たちを選びます」「調査委員会の方々と相談したうえで、じゃあ第三者委員会にしよう、もしくは調査委員会にしよう、というように決めることになると思います」という発言もあり、委員の中立性がどこまで担保されるのかは不明瞭だった。
「フジテレビは昨年末、『当該社員は一切関与しておりません』と断言するコメントを出している。週刊文春の報道は“ぬれぎぬ”とする姿勢が前提にある以上、フジの意向とは完全に切り離された第三者委員会にならなければ、まともな調査結果にはならないでしょう。企業の言いなりになって都合のいい報告をあげるような外部弁護士に委員を依頼したり、ましてや社内の人間をメンバーに混ぜたりする事態になっては言語道断です」