幹部発言ににじむ「結論ありき」のニュアンス
郷原氏は会見内容から、「自分たちは悪くない」「週刊文春とは全面対決する」といったフジテレビの意志を感じたという。そのメッセージが顕著に表れているのが、石原正人・常務取締役による以下の発言だ。
〈(社員の関与の有無について、)当該社員の聞き取りのほか、通信履歴などを含めて調査、確認を行った結果を受け、弊社HPにおいて見解をお伝えしました。中居氏が出した声明文においても、当事者以外のもの、すなわち、中居氏と女性以外の第三者が関与した事実を否定しています。ただ、この点につきましても、調査委員会の調査に委ねたいと思っております〉
郷原氏が続ける。
「通信履歴の調査といっても、社内メールだけを調べたのか、スマートフォンを提出させてLINEのトーク履歴なども確認したのかは分かりません。フジとしては、当事者の言い分を聞いただけでなく、調査した上でコメントを公表したことを強調したかったのでしょう。石原氏の説明は、フジ側の強気な姿勢の表れであり、調査委員会には“念のため”調べてもらうという結論ありきのニュアンスを感じました。やましいことはないという絶対的な自信があるのか、いまさら非を認めるわけにいかないというハッタリなのかは分かりませんが……」
だからこそ郷原氏は、今回の会見の次の展開を注視している。一般的に、企業が調査委員会のメンバーを選ぶのにかかる時間は数日程度。1週間たってもメンバーが公表されなければ、「何か公にしづらい事情があるのでは?」「ほとぼりが冷めるのを待っているのでは?」という疑念を持たれても仕方がないという。
会見では、委員会メンバーについて「決まった段階でお伝えしたい」と答えるにとどめたが、不祥事対応はスピード勝負。フジテレビの“本気度”が試されている。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)