大宮:誰にでもできることじゃないですよね。ゴールがあっても、どういうステップを歩んでいいか途方に暮れるんですよ。私、現役のとき、どんな問題集をやっていいかも分かんなかったです。でも、浪人したとき、配られた合格体験記を読んで、その通りやったら受かりました。つまり、自分で道筋を作ることができなかったんですよ。どういうテキストが自分に合ってるとか。
高田:私、あるとき気付いちゃったの。私立の過去問だったんだけど、読んだことある文章があるなと思って調べたら、教科書からそのまま抜粋だったんですよ。大学の先生がどこから出題するかな、大学の先生と受験生が共通して持っているテキストは何かなって考えたら、結局教科書なんです。だから、ひたすら教科書を読みました。
大宮:それも才能だと思う。教科書から発展できる才能。小論文は教科書ないですが、どう準備を?
高田:いろんな人に聞いたり、新聞を読んだりして、こういう設問が出るんじゃないかと考えました。あとは過去問の解説を読みました。やっぱり過去問の分析が、その試験のカギを握ると思ってて。ビジネスでいうところのマーケティングですよね。
大宮:なんだかワクワクするなあ。
高田:東大受験をして得たのは、段取り力だと思うんです。自分が目指すゴールに向かって道を作って、その道から逆算して今の自分とゴールとの距離を縮めていく。そのとき、なるべく最短距離を探し出す。高校3年生の時に自分で思いつきました。東大に入ったことよりも、東大受験を自力で乗り越えたことが、その後の人生に役に立っていると思います。
※AERA 2023年6月26日号