田中道子さん(撮影/和仁貢介)

1日10時間勉強で偏差値20以上アップ

――運もあると思いますが、ご自分の勝負強さもあるように思います。

 たしかに、それはあるかもしれません。親からは「あんたは本番だけできる」って言われてきたので(笑)。

 高校受験のときは、全然勉強していなくて「県内の下から3番目の高校も怪しい」と言われてたんですが、好きな男の子が進学校に行くと知って、1日10時間ぐらい勉強して、偏差値を20以上上げて受かったんです。それから大学受験のとき、一度もやったことないのにデッサンの試験があったんですが、みんなが鉛筆を10本ぐらい持っている中、私はシャーペンと消しゴムだけで勝負して(笑)。それでも受かりました。

 もちろんダメだった経験もあるんですけど、本番に強いことに加えて、「努力することへのハードル」が低いかもしれないです。まず1回チャレンジしてみよう、という気持ちが常にあります。

――ずっと昔からそういう考えなんでしょうか。

 いえ、中学生の途中までは真逆でしたね。難しいと思ったら逃げてばっかりの子でした。テニス部に入っていたんですけど、ちょうど思春期まっただ中で、練習もサボったり、先生に反抗的な態度を取ったりしていました。

 私はレギュラーの1番手で、ダブルスを組んでいたのに、相手の子とソリが合わなくて、一緒に練習するのが嫌で朝5時起きで学校に行って、1人で練習してたんです。それで最後の夏の大会で、私のミスで負けて……。ミスしたシーンを20年たった今でも全然忘れられなくて、まだ夢に出てくるくらいです。そのとき、負けたのがすごく悔しくて、悔しがっているくせに真剣に取り組んでこなかったことをすごく後悔したんです。

 その経験があってから、「やる」って決めたら絶対最後までやれよ、と自分にルールを課した感じですね。だから今回も諦めずやってきて、本当によかったと思います。

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昨年結婚したことであらわれた「変化」