新年の皇室行事のひとつで、天皇、皇后両陛下が皇族方とともにさまざまな学問の第一人者の講義を受ける「講書始の儀」が、1月10日に皇居・宮殿であった。3人の専門家が、それぞれの研究テーマなどについて説明をした。難しいイメージの儀式だが、今回、18世紀に始まった第1次から現在までの数次にわたる産業革命について講義をした矢野誠・京都大学名誉教授は、研究者の話に深い興味を持ってくださった両陛下や皇族方の姿勢に強い感銘を覚え,光栄に感じたと振り返る。
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宮殿・松の間には、モーニングを着用した天皇陛下と皇嗣である秋篠宮さま、ローブモンタントのドレスに身を包んだ皇后雅子さまや長女の愛子さまら女性皇族方が並び、およそ1時間にわたる「講書始の儀」に臨まれた。
「およそ1時間にわたる講義ですが、愛子さまはあのご年齢で身じろぎもなさらない。しかも講義の内容を楽しみながら、熱心に耳を傾けていらっしゃるご様子で、ご立派だと感じました」
そう穏やかにほほ笑むのは、講義をした国際経済学の研究者、矢野さんだ。
今年のテーマは、大阪大学の武田佐知子・名誉教授が「古代の衣服と社会・国家・国際関係」、京都大学の矢野誠・名誉教授が「産業革命サイクルと市場の質」、そして東京大学の谷口維紹・名誉教授が「サイトカインによる免疫応答の概要と科学・技術のこれから」についてだった。
ぶっつけ本番では難しい
宮内庁によると、毎年1月に皇居・宮殿で行われる「講書始の儀」は、明治天皇が学問奨励のために定めた「御講釈始」がはじまりとされる。
当初は「国書」と「漢書」、その後に「洋書」の分野が加わり、1953年からは現在のように「人文科学」「社会科学」「自然科学」の3つの分野の専門家が招かれる形になった。皇族方のほか、文部科学大臣や日本学士院会員、日本芸術院会員らも陪席する。
講義をする側は、どのような準備をして臨むのだろうか。