巨人・岡本

大谷以外で30本塁打以上は松井氏だけ

 大谷翔平は昨年54本塁打をマークし、メジャーで2度目の最多本塁打のタイトルを手にした。しかし、大谷は別格だ。ほかのメジャー入りした日本人野手の中で、シーズン30本塁打以上をマークしたのは04年に31本塁打を放った松井秀喜氏のみ。そんな松井氏も、日本で10年間に332本塁打を積み上げながら、メジャーでは10年間で175本塁打と半分のペースに落ちた。米国ではチャンスに強い中距離砲打者という位置づけで、走者を還す打撃を心がけていた。

 日本で6年連続20本塁打以上を記録して海を渡った鈴木誠也(カブス)は、昨年、日本人メジャーリーガーの右打者としては初めて2年連続20本塁打以上をクリアした。だが、メジャーではスラッガータイプではなく、守備、走塁、打撃とすべての面で高水準のプレーをするスタイルだ。日本で本塁打王のタイトルを獲得して海を渡った筒香嘉智(DeNA)は、メジャーでは3年間で通算18本塁打と輝きを見せられず、昨シーズン途中で帰国した。

中日・細川

本塁打が出にくい球場で多発する細川

 日本人スラッガーのこれまでの成績や、村上、岡本に向けられた厳しい評価を考えると、日本にはメジャーで活躍する可能性を秘めた長距離砲がいないように感じてしまう。だが、そうではない見方もある。

 メジャー中地区のスカウトが「打球を遠くへ飛ばす素質は村上以上」と名前を挙げたのが、細川成也(中日)だ。

「広角に本塁打を打てるし、彼は米国でも本塁打を量産できるタイプだと思います。速い直球に振り負けず、バンテリンドームのスタンド最深部まで運べる日本人打者は彼ぐらいでしょう。まだまだ成長段階の選手ですし、日本で40本塁打を打てる。メジャーでもホームランバッターとして活躍が見たい選手です」

 細川は昨年2年連続20本塁打をクリアしたが、昨年の23本塁打の内訳をみると、フェンスが高くて本塁打が出にくいとされる本拠地・バンテリンドームで10本塁打、広い甲子園でも11試合出場で3本塁打とよく打っている。一方で、本塁打が出やすいとされている東京ドームは1本、横浜スタジアムはゼロだった。相手投手との相性や配球も成績に影響しているだろうが、狭い球場でもコンスタントにアーチを打てれば、30本塁打を軽く超える能力は秘めていそうだ。

次のページ
もう1人、メジャーが評価する長距離砲は…