「べらぼう」の主演を務める横浜流星
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「江戸のメディア王」蔦屋重三郎を主人公にしたNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」の第2話が1月12日に放送される。主演の横浜流星(28)はこれまでクールな役が多かったが、今作ではかつらをかぶり、イメージもガラリと変わった“江戸っ子”重三郎を演じており、その熱い演技にも注目が集まっている。

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 とはいえ、1月5日の初回放送の世帯平均視聴率は12.6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)と過去ワースト発進となってしまった。その要因について、スポーツ紙の放送担当記者はこう話す。

「主人公の蔦屋重三郎は“知る人ぞ知る人物”で、歴史の真ん中にいたわけではない。しかも活躍したのは文化・教養のジャンルで、大河ドラマのメイン視聴者だった“合戦好きの中年男性”からは敬遠されてしまった面はあります。しかし、初回では吉原の場末である河岸見世の女郎たちのひどい惨状が描かれ、彼女たちの“裸死体”が映し出されるという“攻めの演出”が話題になりました。今後、注目度は上昇していくでしょう」

 紫式部を描いた前作の「光る君へ」は合戦シーンがない代わりに官能的なラブシーンを盛り込み、女性層を引き込むことに成功したが、本作もこれまでの視聴者層とは違う「ビジネスマン」や「若者層」に刺さる要素が盛りだくさんとなっている。

 第1話では、重三郎が渡辺謙演じる田沼意次からリーダーシップを学び、自ら動き始める様子が描かれた。そして、1880年代まで約160年間にわって出版され続けた日本史上最も長期にわたる定期刊行物「吉原細見」の企画を思いつく第2話への展開が見えたが、重三郎が開発した「江戸時代のマーケティング手法」は、現代ビジネスに生かせる視点も多くある。

 歴史ライターが解説する。

「彼が手がけた『吉原細見』は遊郭のガイドブックですが、単なる情報誌にとどまらず、“読者が知りたい情報”を徹底的に追求した商品でした。古かったり間違ったりした情報も多かった従来のガイドブックをアップデートし、遊女の格付けや料金などの実用的な情報を充実させ、見やすいレイアウトに工夫したのです。さらに、無駄なページを削減して価格を下げ、著名な作家に序文を書かせることで商品の価値を高めました。このような改良の積み重ねが、大ヒット商品に押し上げたのです」

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