日本の磁器の発祥の地である有田にある陶磁文化館を視察する佳子さまの耳元には、有田焼のイヤリング。赤絵付の職人が手描きの筆で施した金色が華やか=2024年10月14日、佐賀県有田町

 有田焼は、染めて焼き、絵を描いてまた焼いて、と手間のかかる工芸品だ。宮崎さんが有田焼のアクセサリーを販売する前にリサーチしたところ、有田焼では数点しかないうえに、2万~3万円の値段がついていた。

「私は今、6000円を切る値段でこのイヤリングを販売しています。確かに手描きで何度も焼いて手間がかかるので、割に合わないかもしれない。でも、初めて有田焼を知ったという人も手に取ってもらえる値段にしたいと思った」

 目標の値段で販売するために、協力してくれる絵付け職人などを探し回ったという。
 

 宮崎さんは、佳子さまが伝統工芸品のアクセサリーを積極的に身に着けていることを知り、どのような工芸品なのか調べてみたという。

「それほど有名ではない若手作家や、技術はあるが小さな工房などの品が多い印象です」

 佳子さまは、地元の素材や伝統技術を継承して頑張ろうとしている作家や職人を気にかけ、応援してくださっているのだと感じたという。

名誉総裁を務める焼き物の祭典「国際陶磁器フェスティバル美濃」の開会式などのために岐阜県を訪問した佳子さま。耳元には深い青の美濃焼のイヤリング=2024年10月18日、岐阜県土岐市

寄木細工や美濃焼のアクセサリー

 佳子さまのそうした姿勢は、身に着けた品をたどると、おのずから伝わってくる。

 9月に鳥取県を訪れた際には、県内の山あいにある小さな工房である「白谷(しろいたに)工房」が製作した寄木細工のイヤリングとバレッタが話題を呼んだ。

佳子さまの耳元と髪を飾ったのは「寄木のダイヤイヤリング」(税込み4950円)と「寄木のストライプバレッタ」(税込み3850円)だった。

 10月に岐阜県であった「国際陶磁器フェスティバル美濃」に出席された際には、岐阜県の陶器アクセサリーブランド「MIKELO」による美濃焼の陶磁器のイヤリングをつけていた。「六角形 星屑」の作品名で、価格は税込み2640円の品だった。
 

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「僕の描いたバレッタがテレビに」73歳の蒔絵師