2025年の吉日を暦注の専門家に聞いてみました(写真はイメージ/gettyimages)
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 2025年は始まったばかり。世知がらいご時世だから、せめて「運」は掴んでおきたい。知っておくべき今年の「大吉日」を、暦の専門家に教えてもらった。

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昔は開運日だったか不明

 結婚式は大安がよくて、葬儀は友引を避けたほうがよくて――。現代日本人の生活の中に、日取りの吉凶は意外にもしっかり根付いている。

 一般の人が「吉日」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、「大安」や「一粒万倍日」ではなかろうか。

“本日、一粒万倍日!”

 そんなのぼりを宝くじ売り場や神社仏閣で見たことがある人も多いだろう。

 一粒万倍日とは、一粒の籾(もみ)が万倍にも実る稲穂になるということから、新しいことを始めるのによい日とされる。とりわけ、仕事始め、開店、種まきなどによいという。

 だが、あまり知られていないが、人にものを借りたり、借金をしたりなど「借り」をつくる行為は、その「借り」も増えるとして、避けられてきたという。

 暦の歴史に詳しい青森公立大学准教授の下村育世さんは、こう解説する。

「今でこそ『開運日』として捉えられている『一粒万倍日』ですが、昔は『この日人に物をかるべからず』といわれ、開運日として捉えられていたかどうかは不明です。昔からある暦注ではありますが、貞享以降の江戸時代の暦には見られません」

 暦注とは、大安や仏滅、先勝、友引、先負、赤口といった「六曜」、「九星」、「十二支」など、日時や方位などの吉凶や運勢を表す注釈のこと。

 たとえば、昨年末12月26日には、「天赦日」が「一粒万倍日」と重なり話題になった。

 天が赦(ゆる)す日と書いて、天赦日。「天がすべての罪を赦す日」を意味し、何事においても障害がなく、始めたことが成功しやすいため新しいことに挑戦するのにいい日といわれている。

藤原道長平安時代中期の公卿)の時代にもある伝統的な暦注で、江戸時代もずっと使われていました。天赦日は、文化史的にみても、『ありとあらゆる神様に恵まれたいい日』として捉えられています。天赦日は1年間に5日とか6日しかなく、非常に少ない。この日は何をやってもいい極上の大吉日とされました。特に婚姻には大吉日と記されています」

 金運アップのために、宝くじや財布を購入したり、銀行口座を開設したり、投資を始めたりする人も多いようだ。

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