山里亮太(やまさと・りょうた)/1977年生まれ、千葉県出身。2人兄弟の弟。お笑いコンビ「南海キャンディーズ」のツッコミ担当。著書『天才はあきらめた』が原案となり今春ドラマ化した(撮影/写真映像部・松永卓也)
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 7日放送の「ファミリーヒストリー」(NHK総合、午後7時57分~)は、著名人の家族の歴史を本人に代わって徹底取材。「アイデンティティ」「家族の絆」を見つめ、初めて明らかになる事実に驚きあり、感動ありのドキュメント番組。ゲストは情報番組やバラエティー番組のMCなど、様々な場で活躍しているお笑いタレントの山里亮太。山里亮太の過去の人気記事を紹介する(この記事は「AERA dot.」に2023年7月15日に掲載されたものの再配信です。本文中の年齢、肩書等は当時のもの)。

【図表】山里亮太さんのネガティブを武器に変える5カ条はこちら

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 数多くのバラエティー番組に引っ張りだこの南海キャンディーズの山里亮太さん。今年4月には、朝の情報番組「DayDay.」(日本テレビ系)のMCに抜てきされ、活躍の場を広げている。そんな山里さんの原動力を探ると、芸事と人間としての二つの「ネガティブ」が見えてきた。AERA 2023年7月17日号の記事を紹介する。
 

 自分より「何か」ができるヤツを見かけるたびに、妬(ねた)み嫉(そね)みの感情が全身を駆け巡る。誰かと比べては、自分にないものをすぐに口にする。

「物心ついたときから、ネガティブだった」

 お笑いコンビ「南海キャンディーズ」の山里亮太さんは、自身のことをそう分析する。

 ネガティブというと、じめっとした印象を持つかもしれない。書店にはポジティブになるためのノウハウ本があふれているし、インターネットで「ネガティブ」の5文字を検索すれば、「ネガティブ思考を断ち切る方法」を書いた記事が無限に出てくる。

 ポジティブこそ善。ちまたには、そんな風潮すらある。
 

妬み嫉みはガソリン

 だが山里さんは、そんな流れを物ともしない。

「ポジティブなのは、それはそれでいい。でも、人に強要するものでもない。“ポジティブ教”の人たちに『明るくいこうぜ』なんて言われても、その後ろでいるほうが気持ちいい人だっていますよね」

 山里さんには、芸事としてのネガティブと人間としてのネガティブの二つのネガティブがある。自身のそんな性格に息苦しさを感じたことは、一度や二度ではない。それでも、人生をリスタートするとしても、今のネガティブな性格でありたいという。

「ネガティブの先に何か見つけられる人もいるし、僕にとって妬み嫉みはガソリン。ポジティブなエネルギーでは、僕のエンジンは動かないんです」

 昔から、自分にはゼロからイチを生み出すことができないというコンプレックスがあった。相方のしずちゃんこと山崎静代さんは、天真らんまんに天性のボケを発揮する。同期の芸人を見渡しても、先輩を見上げても、呼吸するように面白いことを言う“バケモン”たちがいる。

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