●日建設計に丸投げ 最悪の動線計画 日本の食文化を破壊

 そして二つ目の問題は、豊洲の水産仲卸売場の床の積載荷重の限度が、1平方メートル当たり、わずか700キログラムしかないことだ。

 荷物を満載したターレは2トン、フォークリフトは4トンの重量になる。ただでさえ床の上に荷物が積まれた中を、こうした車両が激しく行き交えば、重量オーバーとなってしまう。

 都は反論のために設けたウェブサイトで「フォークリフト周辺の床に重量が分散されるので問題ない」としているが、「フォークリフトが走る床は、積載荷重を1.5トンにするのが普通だ」と、建築エコノミストの森山高至・一級建築士は指摘する。店舗スペースがただでさえ狭いといわれる中、床に積む荷物まで制限できないだろう。

 なぜ、こうも拙劣な計画が具現化したのか。それは都が、市場関係者のニーズをくまずに豊洲移転を計画し、細部の詰めは設計を請け負った日建設計に丸投げしたからだ。その証拠に、設計会社の選定方法は、発注者が請負側の提案を審査するだけのプロポーザル方式だった。新国立競技場の当初計画の破綻と同様、ここでも無責任体制による失敗の連鎖が明るみに出ようとしている。

 東京の胃袋・築地市場の老朽化は否めない。だが、このまま豊洲移転を強行すれば、築地が連綿と育んできた豊かな日本の食文化が破壊されることになる。

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