個別物色が進んで、出遅れ銘柄が再評価されるかもしれないという。
「アメリカの長期金利が高止まりしているときは、日本のグロース株(成長株)にはお金が流れにくい。米国債を買っておけば、ほぼリスクゼロで4%以上のリターンが得られるからです。だから、日本のグロース株のなかには、増収増益を続けているのに、株価が伸び悩んでいる銘柄も少なくない。その典型が、医療情報サイトなどを運営するエムスリー。同社は営業利益が順調に伸びているのに、株価は4年前より8割以上安い。中小企業までDXが進み始めたので、Sansanやサイボウズなども水準訂正が進んでもおかしくない。アメリカの利下げが進んだ影響で、グロース復調の下地が整ってきた」(同)
アメリカでも同様にDX系は伸びそうだ。
「トランプ氏は国内製造業を守る姿勢を取っていますが、第一次トランプ政権の4年間で最も伸びたのはテック系でした。S&P500が4年間で64%上昇したのに対して、NASDAQ100の上昇率は158%を記録したのです。今回はイーロン・マスク氏が政府効率化省のトップになることから、DX化の加速で歳出削減を進めるのは明らか。マグニフィセント7(アマゾン、グーグルなどテック系大手7社)を中心にテック系の業績拡大は続くでしょう」(石黒氏)
いつ弾けてもおかしくない
ただし、アメリカの株価には過熱感も見られることは留意しておきたい。
「ゴールドマン・サックスは24年前の大統領選前のことですが、『今後10年はS&P500の年率の収益率が3%に低下する』というレポートを出しています。バフェット指数(時価総額をGDPで割った値/相場の割高・割安感を示す)も、00年のITバブル時代の高値を大きく超えて過去最高の200%に。いつバブルが弾けてもおかしくない状況にあるんです。中国経済の停滞やトランプ関税リスクから、日本の製造業も26年3月期は減益予想に転じる可能性もある。そうなれば、25年6月以降は大きく調整が入るでしょう。24年8月同様に、相場がクラッシュすることも考えられる」(国内資産運用会社関係者)
例年、相場は夏枯れしやすいだけに要注意。少なくとも、25年は上値を買っていく投資は避けたほうがよさそうだ。
(ジャーナリスト・田茂井治)