上田「小泉さんが教えてくれた本からも刺激をもらってます」
小泉「本も私だちの共通項ですね。以前、上田さんに『samida-rain』という曲を書いてもらったんですけど、歌詞を読んだときにアリ・スミスの『五月』という短編とつながりを感じたり」
上田「小泉さんとは向田邦子さんの愛読者という大きな共通点があるんですよ」
小泉「あとは健康や料理の話。二人とも無添加という言葉が大好きなんです(笑)」
――新作アルバム「ムーランルージュの黒猫」がリリースされましたが、楽曲の制作はどのように行われているのでしょう?
上田「曲は常に作っているので、できたら小泉さんに『こんな曲できたよ。どう?〉という感じで送るんです」
小泉「時間があるときに上田さんのスタジオに行って、その場で歌って」
上田「歌ってるうちにどんどんメロデイが変わっちゃうんです(笑)。歌いやすさ、弾きやすさも大切にしていて。そうすればミュージシャンもお客さんもカジュアルに楽しめると思うので。小泉さんが教えてくれる猫の話がヒントになることもありますね。『チーズの船』という曲もそう」
小泉「“船乗り猫”(ネズミを捕まえるために商船や艦艇に乗せられた猫)の話ですね」
ライブでは黒猫同盟流“反戦歌”のみ撮影OKに
――「東の島にネコがいたVol.3」という楽曲は、爆風スランプの「東の島にブタがいたVol.3」のリメイクですね。
小泉「爆風スランプのみなさんに提供していただいた『東の島にブタがいたVol.2』という私の曲があって。そちらはコブタの旅をテーマにしたかわいい曲なんですが、爆風スランプさんが歌う“Vol.3”は反戦歌なんです。2022年の私のツアーで“Vol.2”を歌っていたんですが、ツアー中にロシアのウクライナ侵攻がはじまって。上田さんに「“Vol.3”の歌詞を歌いたいんだけど、どうかな」と相談したら、「いいと思う」と言ってくれたんですよね。そういうメッセージは一過性ではなくて、いろんなところで、いろんな形で伝えるしかないと思っていて。黒猫同盟のアルバムにも、ブタをネコに変えた『東の島にネコがいたVol.3』を収録したんです。ライブではこの曲だけ撮影OKにして」