小泉さんがSpotifyオリジナルPodcast「ホントのコイズミさん」を始めるにあたり、既存の曲をかけられないのならオリジナルを作ればいい!と上田さんに声をかけたことが黒猫同盟のはじまりだという(撮影/写真映像部・高野楓菜)

「私たちには若い人を支える役目がある」

上田「小泉さんは“私たちみたいな大人が楽しくエンターテインメントしているところを若い人に見せたい”とも言ってましたね」

小泉「コロナになったばかりの頃は大人たちも不安や不満ばかりだったし、これはどうにかしないといけないなと思って。私自身のことで言うと、当時は俳優業が中心になっていて、ほとんど歌ってなかったんです。でも、“私たちが音楽を発信することで少しでも元気になってくれる人がいたらいいな”と思って。歌う理由ができたんですよね。まずは配信ライブからはじめて、黒同盟が動きだして、そこから自分のホールツアーにつながって。そちらも上田さんに手伝ってもらいました」

――2022年に行われた小泉さんの31年ぶりのホールツアー(「小泉今日子 TOUR 2022 KKPP (Kyoko Koizumi Pop Party)〉」)ですね。

小泉「お客さんは圧倒的に40代、50代が多いんですが、音楽を楽しむのはもちろん、“私たちには若い人を支える役目があるんだよ”ということを共有したいと思っていました。これは昔から思っていることだけど、後から歩いてくる若い人たちのために街灯を付けたり、道を舗装してあげたくて。私自身はケモノ道というか、草がボーボーの道を進んできた気もしますけど(笑)」

上田「そうだよね(笑)。僕はもともとパンクロックのシーンから出てきて、その後、スタジオミュージシャンやプロデューサーの仕事を始めたんですよ。音楽の勉強もしたし、弦楽器のアレンジも学んだんですが、“パンクの人には無理でしょ”と言われてしまうこともあって。これは結果を出さないとダメだなと思って、トップテンに入るようなアーティストのプロデュースを10年やったんです」

小泉「“結果を出さないとやりたいことがやれない”というのは本当にそうで。“そんなの売れるわけないよ”と言われてもがんばって続けて、結果を出さないと認めてもらえないので。そのためには知識も必要だし、勉強もしなくちゃいけなくて。上田さんとは同じ時代を生きてきたし、眺めてきた景色も一致してるから、分かり合えるところがあるんだと思います。上田さんは作詞家としても素晴らしくて。独特の文学性があるんですよ」

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ライブではある曲だけ撮影OKに