国際生物学賞授賞式に出席し、おことばを述べる秋篠宮さま
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 SNSなどで秋篠宮家に対するバッシングが続くなか、秋篠宮さまが「いじめ的情報」と発言した。ネット上で批判が広がる背景には何があるのか。ジャーナリストの古田大輔さんに聞いた。AERA 2024年12月23日号より。

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 秋篠宮家に関するネガティブな情報や批判がソーシャルメディアで広がっています。日本は言論や表現の自由が保障されています。しかし、問題は秋篠宮さまが「いじめ的情報」と表現したような、誹謗中傷だったり、社会を不安定にしたりするような情報です。「トキシック・インフォメーション(毒性のある情報)」とも呼ばれます。

「あの人、気に食わない」という発言そのものは自由ですが、発言が何十万もあると、該当者はひどく傷つくでしょう。そして、このような発言が誤った根拠に基づいていることも少なくないです。例えば、「あの人は家族に犯罪者がいるような人間だから気に食わない」という発言があったとして「家族に犯罪者がいる」という情報が完全に誤っていたり、それは事実だとしても本人には何の罪もなかったりする場合には、この発言は無用な敵意を助長するものです。

 一度「攻撃対象」になった人は、その後も繰り返し攻撃される傾向があります。秋篠宮家に対するネット上の批判はその典型例でしょう。ご一家への批判は最近始まったことでなく、新しい話題が出るたびに、批判的な言説は積み重なっていきます。

 もちろん、事実に基づく建設的な批判も含まれているはずです。一方で、本人たちに落ち度がない話や根拠のないデマ、批判も含まれる。それらが一体となってさらなる敵意を煽ります。

 もうひとつ重要なポイントとして「偽情報や誤情報がどのように拡散するのか?」という点があります。JFCと国際大学グローバル・コミュニケーション・センターが協力した調査で、偽情報を拡散させた人たちに理由を聞いたところ、その情報を「興味深い」と感じたというのが最多で、2番目は、その情報を「重要」だと思ったから。つまり、拡散は悪意からではなく、善意に基づくことの方が多いわけです。「毒性のある情報」を拡散させる人たちは悪意があると思われがちですが、実際には多くの人が「これが真実で、多くの人に知ってもらうべきだ」と信じて拡散しているのです。

 3番目に多かった理由は「情報に対して怒りや不安を感じ、それを表現したかった」でした。例えば「こんな悪いことをしている人がいるなら、みんなに知らせなければならない」という正義感が動機だったわけです。

 攻撃的な情報が善意や正義感によって拡散されてしまうという皮肉な事実。表現の自由を尊重しながらも、こうした情報が過度に拡散しないための仕組みづくりに取り組まなければ、社会はより不安定になるでしょう。

(構成/ライター、編集者・千駄木雄大)

古田大輔さん(ふるた・だいすけ)/朝日新聞記者、BuzzFeed Japan創刊編集長を経て、2022年9月から現職。共著に『フェイクと憎悪 歪むメディアと民主主義』(撮影/写真映像部・佐藤創紀)

AERA 2024年12月23日号

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