
現役学生から公募したモデルが、受験時のエピソードや勉強法、キャンパスライフを明かす特別企画。今週は、「代表取締役」の肩書をもつ近畿大学法学部4年生・織戸弘暉さん(愛知県立名古屋西高校卒)が登場。学生起業家になった理由や、見据える未来などを語ってくれた。
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まさか、大学で起業するなんて夢にも思っていなかった。高校時代は、公務員試験に有利な法学部を志望。映像授業の塾に通っていたが、「90分4千円の授業料は高い」と退校し、参考書を使って自力で勉強した。
残念ながら、第1志望だった地元の名門私立・南山大学には手が届かず。だがへこたれることなく、近畿大学が手厚く支援する“学生起業家の道”を目指しはじめた。
「僕の家は母子家庭なんです。母親が老後に不自由なく生活できるよう支えたいんですけど、大手企業に就職するのはけっこう難しいし、もし入ったとて、定年まで安定した生活が確約されているわけでもない。だったら起業してみようかと」
目をつけたのが“マネー教育”だ。
「多くの経営者の方が『日本経済はこのままじゃヤバい』って話すんですけど、成長を止めている要因の一つは、僕もふくめ、お金に関する教育を受けていない人が多いことだと思って。プログラミング教育と同程度まで、マネー教育の市場を広げたいと考えました」
昨年4月から6カ月間、大学が設ける起業支援プログラムに参加。サポート役の民間企業の社長と毎週のように面談したり、ビジネスコンテストで賞をとったりと経験値を積み、今年2月に起業した。現在、会社のスタッフは10人。学年はバラバラで、近畿大学附属高校の生徒もいる。スタートアップのため、社員研修制度などない。メールの書き方から、織戸さんが手取り足取り教える。全員学生と兼業のため、チームマネジメントにも一苦労だ。
だが、「みんな熱量だけはあります」ときっぱり。
「高2の子なんて、沖縄での修学旅行中、『こんなことやっとる場合じゃない』って仕事してましたからね(笑)」