佐久間:独立する要因はいくつかあったんですけど、一つにはそういったことがありました。作風を変えずに独立しても5年から10年は仕事があるなって。
小川:小説家って、佐久間さんみたいに自分の価値をどうやってお金に換えるかを考えている人が多くないけど、本当はもっと考えたほうが良い気はします。編集者も巻き込んで。
佐久間:いやぁ、でもすごい。小川さんが自分を商品として考えた場合のマネタイズの仕方というか、生き方をこんなに考えてると思わなかった。
小川:僕は割とちゃんと考えながら生きてきましたけど、すごく才能があるのにうまく立ち回れてない人もいっぱいいて。例えば、ツイッター一つとっても作家はツイッターをするなとかするべきとかって議論がありますけど、本来、その人がどうやって世の中にアプローチするかによって、答えって変わるじゃないですか。
佐久間:そうですね。神秘性を保ちたい人とかもいるし。
小川:そうそう。自分の持ってるものをどう使うかっていうか。佐久間さんの番組に出てる人って自分を商品として、心の中に自分のプロデューサーを飼っている人多いじゃないですか。
佐久間:多いね。それか「マイナスじゃないんだったら、こういう出方のほうが良いんじゃない?」って僕が話すことも結構ある。「ゴッドタン」の「腐り芸人」(現代の笑いに対応できず、心に“闇”を抱えるようになった芸人)とかね。あとは、みなみかわくんの出し方とか。小川さんの話でいえば、才能ある作家なんだけど……みたいな人ですよ(笑)。才能あるんだけど、どう世の中と接点をもつのかっていうのが、まだ見つかってない人にアドバイスすることは結構ありますね。
小川:変な出方しちゃって、本人は向いてないのに、ずっとその路線でやってて傷ついてる人とか、芸人もそうかもしれないけど、小説家にもたくさんいます(笑)。
佐久間:もっと小説とかテレビの話がメインになるかなと思ってたら、サバイブの仕方で盛り上がるとは(笑)。そういう話が小川さんからたくさん出てくるとは思わなかったなぁ。
(構成/本誌・唐澤俊介)
※週刊朝日 2023年4月21日号より抜粋