なぜそのような期待が起きたのか? それは、トランプ氏が、ビットコインの規制緩和に批判的な態度をとってきたSEC(アメリカの金融庁にあたる組織)のゲーリー・ゲンスラー委員長を解任すると言ったからです。もちろん、大統領権限では難しいものの、大統領が代わるとSEC委員長も辞任するというのが通例であることから、その蓋然性は非常に高いでしょう(*1)。
そして、25年に向け、仮想通貨市場は上記のような規制緩和への期待だけでなく、ロビイング活動の激化と技術革新で、さらに伸びるとも期待されています。
有利なルール作り
まず、ロビイング活動の規模について具体的な数字を見てみましょう。21年の米国では、仮想通貨企業が上院に対して約500万ドルを費やしました。このうち、7月から9月の3カ月間だけで250万ドルを投じ、前年同期比で4倍の増加となっています。さらに、ロビイング活動に従事するスタッフ数も16年の1人から21年には86人に急増しました。主要企業では、Coinbaseが21年第3四半期に62万5000ドルを、Blockが20年4月以降に170万ドル以上をロビイング活動に投入していると報道されています。EUでも同様に、ブリュッセルに52人のロビイストを配置するなど、国際的な動きも活発化しています。この巨額な投資は、規制当局への影響力を強化し、仮想通貨に有利なルール作りを目指す戦略の一環です(*2)。