再選後、初の県議会で所信表明する斎藤知事。公選法違反疑惑については否定している

本当に「成果物の対価」だけだったのか

 収支報告書には、公費で支給されるポスターやビラの印刷費用も別に記載されている。印刷代は約260万円(税込み)となっていた。

 2019年の前回の知事選のときの斎藤氏の報告書と比較すると、印刷代やビラ、ポスターの枚数はほぼ同じ。印刷を依頼した業者も、前回19年の知事選と同じ大阪府池田市の業者だった。

 しかし、前回の報告書にはチラシデザイン制作やポスターデザイン制作という支出はない。

 これについて、選挙プランナーの藤川晋之助氏は、こう疑問を呈する。

「通常はポスターのデザイン、制作も印刷会社が一括で請け負う。選挙のポスターやビラは経験がある印刷会社に依頼することで、不備があれば指摘してもらえるし、法に触れないという“保険”でもある。請求も印刷会社から選挙管理委員会に直接、公費でというのが選挙時の普通の流れだ。なぜ今回、報告書にポスターとチラシのデザインという費用が新たに計上されているのか不思議です」

 斎藤氏から折田氏側への支出は、本当に「成果物の対価」だけだったのだろうか。折田氏が書いたように、〈広報全般〉を担ってもらったことへの報酬が含まれていなかったのかという疑問が生じてくる。

 斎藤氏や折田氏を刑事告発した上脇教授は、こう語る。

「折田氏はnoteに真実を書いてしまったが、ネットで公職選挙法違反を指摘され、問題となりそうなところを削除、修正したのではないでしょうか。しかし、それが逆に最初に書いたことが真実ではないかとさらに疑惑を拡大させていると感じる。折田氏の会社はSNSや広報が専門とホームページに記載しています。説明責任の重要性はわかっているはず。自らの疑惑について、記者会見できちんと説明すべきです」

 折田氏はXなどのSNSで今もトレンド入りするなど、「時の人」状態が続いている。

 民放のテレビ局スタッフによれば、
「折田氏にテレビ出演してもらえれば一気に数字がとれると、幹部から『インタビューを取れ』とはっぱをかけられている」
 という。

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選挙という民主主義の根幹にかかわった責任