折田氏(右端)が斎藤氏に戦略を「説明中」という画像。当初は「提案中」と書かれていたが書き換えられた(折田氏のnoteから)

「説明してもらわないと議会から追及される」

 折田氏の会社は徳島県や広島県など他自治体のSNSのプロモーション事業なども請け負っている。折田氏が事業を受注したある自治体の担当者は、困惑した様子でこう話す。

「折田氏の会社の提案はしっかり審査した上で落札され、仕事をしてもらっています。仕事の内容は契約通りにやっていただいている。ただ、今回のようにnoteに斎藤知事の選挙を手掛けたと具体的に書かれるのは自治体にとっては困ったことです。あたかもうちの自治体が斎藤知事を応援する企業を選んだかのようにとられますからね。折田氏のnoteが炎上して、うちにも問い合わせがきて大変でした。うちの幹部は『こんなことなら、別の業者にしたほうがよかった』とグチってます。斎藤知事側はとりあえず答えているので、折田氏も説明責任を果たすべきでしょう。そうしてもらわないと、問題がある会社に発注したのかと議会にも追及の動きがあり、困っている」

 12月3日、兵庫県選挙管理委員会が知事選の選挙運動費用収支報告書を公開した。斎藤氏の報告書には、折田氏の名前もmerchuの名前も出ていなかった。

 報告書には、斎藤氏から後援会に対して、

〈メインビジュアル企画・制作 110,000
 チラシデザイン制作 165,000
 ポスターデザイン制作 55,000
 選挙公報デザイン制作 55,000〉

 と、計38万5000円(税込み)を支払ったという記載がある。

 斎藤氏の代理人弁護士は会見で、merchuに対して、ポスター制作など公選法で認められた5項目の「成果物の対価」として計71万5000円を支払ったことを内訳とともに明らかにしていた。上の4項目はその中にあった。

 代理人弁護士の説明では、上記の38万5000円は斎藤氏が後援会に支払い、後援会がmerchuに支払ったという。報告書には残る1項目の「公約スライド制作費」の33万円(税込み)の記載がないが、これは斎藤氏の後援会が「政治活動費」としてmerchuに支払ったため、選挙運動の報告書には記載されていないという説明だ。斎藤氏が意図的かどうかはわからないが、後援会を間に入れることで、斎藤氏からmerchuへの支払いの実態がわからなくなっている。

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「折田氏に出演してもらえば数字が取れる」