原田浩さん(はらだ・ひろし)/1939年、広島市生まれ。63年から広島市職員。93~97年、広島平和記念資料館第9代館長。98年まで広島市国際平和担当理事を兼務(写真:編集部・井上有紀子)

 挑戦できることもある。

「市が被爆建造物の保存の補助金を出す独自制度を作ったことで、被爆遺構の保存につながりました。今後は、原爆ドームを特に重要な場所として特別史跡に指定して、京都や奈良のように原爆ドームを含めた被爆建造物を世界遺産群として登録することを目指すべきだと思います。朽ち果てそうな建物を保存して、平和活動の中心になる施設を作ることができます」

 2023年度の資料館の入館者数は、過去最多の198万人に上った。美術館・博物館として国内トップレベル。昨夏は最大2時間待ちになる日もあった。市は開館時間を延長するなど工夫するが、今も展示が十分見られないと原田さんは言う。

 ノーベル平和賞で、国内外からの関心は高まり、さらなる訪問客の増加が期待できる。

「今からは被爆体験のない良き協力者、良き理解者の力が必要です」

 原田さんがそう語るように、ノーベル賞の受賞を生かし、自らが一人一人の問題として核廃絶の運動をいかに広げられるかが重要だ。(編集部・井上有紀子)

AERA 2024年12月16日号より抜粋

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