2024年のノーベル平和賞に「核兵器NO」を国際社会に訴えてきた日本原水爆被害者団体協議会が選ばれました。どのような影響を与え、なぜ今、光が当てられたのでしょうか。小中学生向けのニュース月刊誌『ジュニアエラ2025年1月号』(朝日新聞出版)からお届けします。※前編<ノーベル平和賞を受賞した「日本被団協」、結成のきっかけとなった“ある事件”とは? わかりやすく解説>から続く
【図表】おさえておきたい「主なノーベル平和賞受賞者・団体」一覧核兵器使用の危うさがあるなか光が当てられた
2024年のノーベル平和賞に日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)が選ばれました。日本のノーベル平和賞受賞は、「非核三原則」(※)を提唱した佐藤栄作元首相以来50年ぶりです。
ノルウェーのノーベル委員会が発表した受賞理由には、「核のタブー」という言葉が何度も使われています。核のタブーとは「核兵器を使うことは道徳的に認められないという強力な国際的な規範」のことです。その確立に大きな役割を果たしたのが、被団協のメンバーたちのたゆまぬ努力だったとしています。なかでも広島と長崎の生存者である「ヒバクシャ」の証言は、かけがえのないものだったとしています。
そして、この核兵器使用のタブーがいま、圧力の下にあることを憂慮するとも述べています。これは、ロシアがウクライナに侵攻し、その戦闘で核兵器を使うことを否定していないことや核兵器保有国とみられるイスラエルが中東での戦闘をエスカレートさせていることを指しています。そんな状況だからこそ、ノーベル委員会は被団協の活動に光を当てたいと考えたようです。
核兵器禁止条約に参加していない日本の課題は
ただ、被団協が今後も同じような活動を続けていくのは、簡単ではなくなっています。原爆投下からまもなく80年。24年3月時点で生存している被爆者の平均年齢は85・58歳となり、運動をリードしてきた被爆者たちは次々にこの世を去っています。
一方で、運動に参加する若者もいます。若者が被爆者の経験とメッセージをどこまで継承し、運動を引っ張っていけるかが課題です。
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