今中能夫さん(いまなか・やすお)/楽天証券経済研究所チーフアナリスト。国内外の証券会社を経て2005年から現職。米国株、特に半導体関連に強い(写真:本人提供)

 楽天・プラスと同様に純資産総額を伸ばしたのは、大和アセットの「iFreeNEXT FANG+インデックス」3228億円。フェイスブック(メタ)、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)(=ここまででFANG)に加えアップル、エヌビディア、マイクロソフトなど米国の「今、強い株」10銘柄を買う投資信託だ。1年リターンは69.90%と「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の45.08%より上。ハイリスクだが利益もすさまじく、勢いが止まらない。

全世界株式の64%米国

 これら新NISAで人気の投資信託に共通しているのは「米国株」。S&P500やFANG+は米国株しか入っていない。eMAXIS Slimの全世界株式も今や64.1%が米国株だ(10月31日現在、月次レポート)。このまま米国株を信じていいのだろうか。

 11月6日にトランプ氏の大統領再選確実が報じられ、米国株は急上昇した。「トランプ株高」となったわけだが、新NISAは長期投資が前提である。トランプ政権により株価は? 楽天証券経済研究所チーフアナリストの今中能夫さんに聞いた。

「経済の各所で規制緩和が実施され、米国経済の活性化および株価の長期的な上昇が期待できます。特に石油、天然ガスの生産に関する緩和を行うのでは。そうなるとエネルギーコストが下がります。データセンターを新築する際の電力の確保が重要な問題とされていますが、エネルギーコストが下がると新築も容易になり、IT関連株や半導体関連株にはプラス材料です」

 11月12日、トランプ氏はテスラやX(旧ツイッター)を率いるイーロン・マスク氏を「政府効率化省」のトップに起用すると発表した。

「マスク氏がどのような役割を果たすか。テスラは電力貯蔵用の家庭用・産業用蓄電池を販売しています。仮に思い切ったEV(電気自動車)推進政策、蓄電池の普及政策に舵を切るなら米国が世界最大のEV大国、ひいては環境大国になるかもしれません。まだまだ『ひょっとしたら』の段階ですが」

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トランプ氏のリスク