「ナマポ」と口にした父への後悔
鈴木氏は、父親に対して心を閉ざしたまま、その最期を看取った後悔をもとに、こうアドバイスする。
「親が高齢の場合、ファクトチェックや議論を重ねることで合意に落ち着かせる時間的猶予は残されていないし、そもそも命や財産に危険が及ばない限りは何を信じようと個人の自由です。私は、父が生活保護受給者を侮辱する『ナマポ』という言葉を口にした時、自分の中で彼の存在を悪魔化してしまいました。でも父を失った今強く思うのは、父が子どものころの話や仕事現場でのエピソードなど、もっといろいろな話を聞けばよかったということ。分かりあえない部分に目を向けるより、共有しあえる話題で対話を深めたほうが、お互いにとって救いがあるのではないでしょうか」
今後、選挙でのSNS戦略はより活発化することが予想される。親子間での不幸な“対立”を生まないためにも、老若男女問わず、正しく情報を取捨選択できるメディアリテラシーを鍛えておく必要があるだろう。
(AERA dot.編集部・大谷百合絵)