作家・北原みのりさんの連載「おんなの話はありがたい」。今回は玉木雄一郎氏の不倫報道について。
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国民民主党代表の玉木雄一郎さんの不倫話で、何時間も友だちと話し込んでしまう。
いったいなぜ、いったいなぜ、玉木!
特別に応援していたというわけではない。でも、日本中の誰が考えても、今は玉木さんにとって人生でもっとも重要な正念場だったんじゃないか。どう考えたって、ねずみ色のパーカーを着てバーで女の人と会っている場合じゃないのではないか? 一寸先は闇、隣は味方の顔をした敵ばかり……という恐ろしい世界に何年もいて、その恐ろしさを誰よりも知っているはずではなかったのか? ……なのになぜ、なぜなのだ玉木! と、人生の隘路のようなものを、玉木さんの不倫騒動に感じてしまうのだ。
申し訳ないが今は、性欲に負けた男……と、そんな言葉しか思いうかばず、しかしいったい、人生をかけるべき大切な時にでも、そんなことをしてしまうのが人間というものなのか……と、同情のような、憐憫のような、軽蔑のような、しかしこれ以上の物語はなかなか見られないぞという野次馬根性のような、様々な感情で心が乱れている。
玉木さんが女性と密会していたという地方ホテルに宿泊したことのある女友だちがいる。以下は彼女のセリフ(ほぼママ)である。
「信じられないですよ! あそこ、駅前で一番目立つホテルですよ。とても見渡しのいいロビーで、あんなところに数時間も(女性が待って)いたら目立つに決まってます。不倫するには最も不適切なホテルなんですよ!」
不倫するならホテルを選びなさい、と言っているのではなく、なぜそんなにも堂々と密会できると思えたのか、という不思議さなのである。
今回、観光大使の仕事をしていた相手の女性は、すぐさま解任を含めて検討中と報じられた。気の毒だ。