私は当時大学生だったが、宇野さんを見ると気持ち悪くてしかたなくなったのを覚えている。今よりも恐らく男性の不倫には寛容な時代だったかもしれないが、それでも相手の女性側が告発するくらいに「宇野さんは酷い男だった」というメッセージも、宇野さんのイメージを最悪にした。告発当時、宇野さんは66歳、相手の女性は40歳だった。
今回の玉木さんの件と比べると、なんだか隔世の感がある。
80年代の40歳の女性は大変な成熟ぶりだった。世間は政治家の女性スキャンダルに激しく反応し、それは一つの内閣を潰すほどだった。女性に対しては「芸者というプロだった女が、秘密の関係を暴露するなんてみっともないッ!」というような批判もあったが、テレビで堂々と宇野さんを「人間性の問題だ」と批判する女性は負けていなかった。
今回の玉木さんは、「恋愛しているウキウキ感」が前面に出ていた。39歳の女性はまるでティーンのような格好でデートをしていた。そこには政治家としての重みも危機感もなく、フツーのサラリーマンのフツーの浮気な感じも含めていろいろと、考えさせられる。
政治家という職業に就く人たちも、平成・令和の過程で大きく様変わりした。そして私たちも、政治家の倫理観のなさというものにどこか諦めのように慣れきってしまっている。
きっとこの玉木さんの件も、きっと来年の今頃には風化して、誰も覚えていないような話になってしまっているのかもしれないくらいに。それにしても……玉木さん、ほんとに、なぜ!?