男女関係についての著書が多数あるフリーライターの亀山早苗さんは「男女で性欲のギャップがあるのは当然」と指摘した上で、「性欲がある側にしてもない側にしても、相手の気持ちを無視して何かを強要するのは、もはや性欲の問題ではない、支配欲に尽きます」と一刀両断する。
「女性は性ホルモンの分泌がライフステージで大きく変化するため、性欲もその影響を受けやすい。性欲って、それ単独なら処理のしようもあると思うんです。ところが、夫婦やカップルは日常生活や家族としての愛情から性欲を導き出そうとするので、相手とのギャップが生まれやすい。そのギャップは次第に『この人と一緒にいてはダメだ』という想いにつながってしまう」(亀山さん)
亀山さんは、取材した妻から「夫を諦める」という表現をよく耳にするそうだ。意味するのは「何も期待しない」。そうやって夫婦関係を淡々と続けていくのだ。「正面切っての“話し合い”というより、日常的に思いやる言葉を掛け合っていれば、後から修復も利くのではないかと思います。そうでなければ、定年後や子どもが独立した後は、地獄または虚無が待っているんでしょうね」(同)
(ライター・羽根田真智)
※AERA 2024年11月25日号より抜粋