セイウンスカイ
この記事の写真をすべて見る

 第41回マイルチャンピオンシップが11月17日、京都競馬場で行われた。秋のG1シーズンも深まってきたが、過去の名馬や名シーンを取り上げた記事や競馬の話題をあたらめて振り返る(この記事は2023年9月21日に配信した内容の再掲載です。情報は配信時のままです)。

【写真】大きな体で爆走した「巨漢馬」といえば

*   *   *

 競走馬における「個性派」と聞いて、逃げ馬を思い浮かべる競馬ファンは多いのではないだろうか。時には巧みなペース配分で、時には自爆覚悟の超ハイペースでレースの主導権を握る逃げ馬たちは、いつの時代も一部のファンの心をつかんでいる。

 とはいえ「記憶に残る逃げ馬たち」をただ列挙してもきりがないし芸もない。そこで今回は「人気ゲーム『ウマ娘』に登場する逃げ馬」という縛りをかけたうえで愛すべき個性派たちを紹介していく。

 9月5日時点でウマ娘に実装されている逃げ馬キャラは9人(同キャラの衣装違い、先行など逃げ以外の適性が最初から高いキャラは除く)。このうち、ゲーム内でもっとも重要な存在としてユーザーに認知されているのはセイウンスカイだろう。

 セイウンスカイはスペシャルウィークやエルコンドルパサーらと同じ「98年世代」。数多くの活躍馬を出し、最強世代論議では必ず話題となるこの世代で皐月賞と菊花賞を制してクラシック2冠馬となった。

 特筆すべきは菊花賞の勝ち方。逃げ馬不利が定説となっている3000メートルのレースでハナに立ったセイウンスカイは、最初の1000メートルを59秒6というハイペースでけん引。続く1000メートルでは一転して64秒3とペースを落として余力を保ち、最後の1000メートルを59秒3とペースアップして逃げ切った。菊花賞の逃げ切りは38年ぶり、勝ちタイム3分3秒2は当時の世界レコードだった。これは手綱を取った横山典弘騎手の頭脳的な好騎乗だったが、この史実がウマ娘では「昼行燈だが実は知性派」というキャラ付けに生かされている。

 さて、ウマ娘では作成したキャラを両親として新たなキャラを作成するのだが、親に指定した馬からは必ず「固有スキル」を継承できる。そしてセイウンスカイの持つ固有スキル「アングリング×スキーミング」は非常に優秀な加速スキルで、これがない逃げ馬は勝負の土俵にすら立たせてもらえないということが高レベルの対人戦では非常に多い。だからこそウマ娘ユーザーたちは今日もまた優秀な親になり得るセイウンスカイの育成を繰り返しているのだった。

次のページ
他にも愛すべき逃げ馬たち