ロングドレスの白という色にも、意味があるという。宮内庁の関係者だった人物は、こう話す。
「祭祀の際、神域では神職も白色の装束を用います。神宮への参拝の際は、女性皇族も白い参拝服をお召しになります。白は神聖なものや清らかさを表す色であるから、と聞いています」
この白い絹地のロングドレスと帽子の素材に、純日本産の蚕である「小石丸」の繭で紡がれた絹織物が用いられたこともあったという。
愛子さまは翌日、伊勢神宮の参拝後の通例どおり、奈良県橿原市で皇室が初代天皇としている神武天皇陵を訪れた。この日は薄いグレーのロングドレスに黒の帽子、手に扇子を持って参拝し、大学卒業と就職を報告した。
神武天皇陵の参拝服は、伊勢神宮とは異なり、濃淡はあるがグレーに変わる。大正天皇陵と貞明皇后陵、昭和天皇陵と香淳皇后陵がある武蔵陵に参拝する際と同じだ。
この参拝服の色は「にび色」といい、喪や慎みの色だという。
この春、人生の節目を迎えた22歳の愛子さま。これからご両親と離れ、おひとりでの歩みが始まる。
(AERA dot.編集部・永井貴子)