教室内で盗撮されたとみられる画像(画像の一部を加工しています)(写真:永守すみれさん提供)

 特に女子中高生など未成年者を盗撮した画像や動画は盗撮愛好家の間では需要が高く、「プレミア」がついて高値で売買される。中高生にとっては、数千円であっても大金だ。そのため、小遣い稼ぎで盗撮するケースもあると考えられるという。

「撮影者は盗撮愛好家コミュニティーの中では『神』として称賛され、さらなる投稿を求められます。盗撮をする人は金銭的欲求だけでなく、承認欲求もあるかもしれません」(同)

 盗撮によって被害者が負う心の傷は深い。

 盗撮された画像が、いったんSNS上にアップされればどこまで被害が広がるかわからない。拡散すればストーカー被害に遭ったり、「デジタルタトゥー」として消えることのない不安に一生苦しめられることにもなる。子どもを「加害者」にも「被害者」にもさせないためにはどうすればいいか。

 永守さんは「最も重要なのは、他者の性的尊厳を尊重する大切さを子どもたちに伝えること」だと説く。他人の画像を性的なものとして扱うことは良くないと伝えることだ、と。

「子どもたちに『盗撮がダメ』というだけでは、個人の顔を生成AI技術を使い性的な画像と合成させるフェイクポルノをつくるのは問題ないと考えるかもしれません。そのためには、『相手の性的尊厳を尊重しよう』と伝えることが大切で、家庭ではどうしてもばらつきがあるので、義務教育の段階で繰り返し子どもたちに伝えることが重要です」

被害が広がる前に防ぐ

 前出の高橋さんは、「教育と同時に撮影罪の認知度を上げることが大切」と指摘する。

「警察が盗撮犯を摘発しそれをマスコミが報道することで、盗撮は罪に問われるものだとわかり抑止力として働きます」

 万が一、子どもの盗撮画像に気がついた場合、どうすればいいのか。高橋さんは、誰が撮ったか分かれば、その人物に直接削除してもらいシェアした先の人物にも削除してもらうのを最優先とする。その際は担任の教師などに間に入ってもらおう。

 盗撮した人物が分からない場合は、相談機関に相談してほしいという。総務省が運営する「違法・有害情報相談センター」や一般社団法人セーファーインターネット協会が運営する「誹謗中傷ホットライン」などが対応してくれる。撮影した相手を罪に問いたい時は、警察への相談が有効だ。

「大切なのは早期発見。被害が広がる前に防ぐことが、重要です」(高橋さん)

(編集部・野村昌二)

AERA 2024年11月11日号より抜粋

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