20人の大人に囲まれて水着審査
――高校卒業後の進路で芸能界入りを考えていたんですか?
いや、想像もしていなかったです。オーディションも私が申し込んだのではなくて。私の写真を持っていた福岡の芸能事務所の人が申し込んだらしくて、なぜか最終選考の4人に残ったようなんです。その芸能事務所に所属していたわけでもないし、なぜ私の写真を持っていたのか、なぜオーディションに申し込まれたのかもわからなくて(笑)。何もわからないまま東京に行ったら、背広を着た20人ぐらいの大人に囲まれて水着審査を受けました。「合格するわけない」と思っていたら合格して、東京に行くことに。本当にあのときは何が何だかわからなかった。芸能界に入ることに、親族はみんな反対していました。グラビアの仕事もあるじゃないですか。鹿児島の祖母は水着の仕事って聞いて、「孫が裸に……」って(笑)。親も反対していましたが、「5年間は口を出さないからやってみろ」と。だから両親が事務所にあいさつに来たのは5年たってからでした。ドラマ出演など仕事が増えるようになってからは応援してくれるようになりましたね。
――財前さんはデビューからさまざまな作品に出演していたので、順風満帆なイメージがありますが。
いえいえ、若いときはうまくいかないことが多かったです。(NHKの)朝ドラのオーディションにも3回落ちましたし。所属事務所の「研音」は、今でこそ多くの有名俳優さんが在籍していますが、当時は音楽の事務所だったんです。中森明菜さん、石井明美さんとか歌手が多くて、俳優は全然いない。何とか仕事を増やさなきゃと必死でした。