あんな出来事があった、こんな話題があった…と記事で振り返る「あのとき」。一昨年の11月ごろに、多く読まれていた記事を紹介します(この記事は2022年11月5日に「AERA dot.」で掲載されたものの再配信です。年齢や肩書などは当時のもの)。
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新型コロナウイルスの感染拡大は、大学生たちの生活だけでなく、学び方にも大きな変化をもたらした。2020年以降、一斉休校やオンライン授業を強いられた時期を経て、今年度からは多くの大学が対面授業を主軸に戻し、キャンパスには学生たちの活気が戻ってきた。しかし、「あえて教室に行かない」という学び方を選ぶ学生がいるという。聞けば、その理由は後ろ向きなものではない。そして、大学そのものやキャンパスという空間を持つ意味も変わってきている。今、大学生たちが学びの場をどう捉え、何を求めているのか取材した。
教室外でオンライン授業を受ける
「大教室でやるような講義形式の授業は、オンラインが選べるなら、大学にいても教室では受けません」
立命館大学経営学部4年の林田里梨さん(21)はこう話す。
教室の代わりに向かうのは、キャンパス内の学生ラウンジだ。テーブルの上にはノートパソコン1台。教科書やノートは使わない。モニターには授業風景が映るZoomの画面と教授から配布されたワードのファイルを開き、イヤホンで話を聞きながら、コメントを書き足していく。隣の席の友人もパソコンを開き、別の授業を受講中だ。
そのメリットはいくつかあるという。画面上で資料が映し出されているため授業の進捗が一目でわかり、教授からいつ指名されるかという緊張もない。気になったことはすぐに検索できる。なかでも大きな理由をこう話した。
「教授よりも、友達とか知っている人に見られているほうが、ちゃんと集中しなきゃという気持ちになります」
多様化する授業のかたち
新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年度、国内の多くの大学でキャンパスが入構禁止になり、学生たちは休校や「オンライン授業のみ」という状況に追い込まれた。授業料や施設使用料の返還を求める声が学生たちから上がったのは記憶に新しい。オンライン授業が定着した21年度を経て、今年度からは対面基軸が復活。文部科学省の調査によると、22年度前期で「7割以上を対面授業とする予定」とした大学等は、全体の95.8%にのぼった。