総選挙で自公過半数割れという惨敗を喫した「石破自民党」。石破茂首相の責任論がくすぶる中、11月11日に行われる「首相指名選挙」では自民党から造反者が出るのではないかとも報じられる。だが、石破氏も当選した「裏金議員」を自民党会派入りさせるなど多数派工作に余念がない。来る首相指名選挙に向けて、水面下ではどんな動きがあるのか。内部事情を知る自民党元議員らを取材した。
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「首相指名選挙は記名投票だから、うかつなことはできない。普通なら(自分は)やっぱり石破さんに入れることになるんだろうけど、個々人はどうするかわからない。いずれにせよ、石破以外の名前を書いたら、造反者扱いになる」
こう語るのは、首相指名選挙を何度も経験してきた自民党元議員だ。
首相指名選挙は衆参で実施され、衆院では投票1回目で定数(465)の過半数(233)を得れば首相に指名されるが、誰も過半数に届かなければ、上位2人の決選投票となる。
総選挙で自民党が惨敗したことで、首相指名選挙までの間に「石破おろし」があるのでは、という報道も出ているが、前出の自民党元議員はこう否定する。
「頭をすげ替えるようなゴタゴタを自民党内でやり出したら、野党も徹底的に追及してくる。ここはしっかりと団結して、グッと我慢で備えていかなければいかんと思います」
自民党内には、総裁選で僅差で敗れた高市早苗前経済安保相を新首相に推す声もあるが、これも“絵に描いた餅”だという。
「高市さんは『ない』ですよ。衆院選で彼女が応援した候補者はバタバタと落ちているし、総裁選で彼女の推薦人となった衆院議員も11人のうち7人も落ちたんだから。とにかく、しばらくは落ち着くまで、みんな一緒にやらなきゃダメだ。今は野党がバラバラだけど、もし自民党を追い込むためにまとまり出したら、非自民勢力8党派が連立を組んだ細川内閣のときのようなことが起きるかもしれない。今は党内で団結しなければいけない時です」(自民党元議員)