過剰な金融緩和は物価高を経て家計を圧迫する可能性も……

 さらに、マーケットには“石破ショック”に対する警戒感もある。ご記憶のとおり、9月27日の自民党総裁選では決選投票を石破氏と争った高市氏の優勢が伝わり、日経先物は2千円近くの大幅高となったが、石破勝利を受けて一気に2500円のマイナスに転落した。総裁選中に石破氏が口にしていた金融所得課税、日米地位協定の見直しや「アジア版NATO」構想による日米関係の悪化が嫌気された格好だ。

米大統領線は無風か?

 今回の衆院選惨敗を受けて“石破カラー”はより一層薄まり、政策面における株安要因は減少すると考えられるが、政局に発展すると新たな石破ショックが起きる可能性もある。

「政策的に自民党に近い維新と国民民主は連立入りしないことを明言しており、部分連携が最も現実的なシナリオです。大きく議席を伸ばした国民民主が減税を始めとした経済対策に前向きなため、経済政策面での不安材料は小さいでしょう。しかし少数与党となれば、その他の法案審議は難航して国会が空転してしまう可能性も出てきます。その結果、ポスト石破争いが表面化してくると、後継の顔ぶれ次第で再びマーケットはリスクオフに転じることも考えられます」(市川氏)

 そのポスト石破の最有力候補は世論の支持が高い高市氏であるとみられているが、永田町関係者は「石破下ろしが本格化して総裁選が行われることになっても、旧岸田派および菅(義偉)グループは高市の対抗候補の支持に回るだろう」と話す。ほかの兜町関係者も「仮に高市政権誕生となれば日経平均は一時的に急騰するかもしれないが、インフレが進む現状での過剰な金融緩和は物価高を経て家計を圧迫する可能性もある」と不安を隠さない。結果、国民人気は高くないが、林芳正官房長官あたりが現実的なポスト石破候補ではないかと話す。

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“トリプルブルー”の可能性は低下