衆院選は、15年ぶりに与党が過半数(233議席)を割り込む大敗に終わった。おのずと政治不安から日本株売りが進むと思われたが、一夜明けた10月28日の株式相場は予想外の値動きに。朝方の寄り付きこそ、日経平均はマイナスに振れたが、すぐに切り替えし、約700円高で終えた。29日も約300円高となった。
「衆院選公示前後から与党過半数割れの可能性が指摘され、日経平均は約2週間で5%安になっていました。与党の大敗は事前に織り込まれていたため、選挙の結果を受けて“アク抜け”となり、買い戻しが入ったかたちです」
こう話すのは野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジスト。マーケットは“石破リスク”をいち早く織り込んでいたという。兜町関係者も次のように話す。
「市場関係者のなかでの最悪のシナリオは立憲民主党と共産党でほぼ過半数を握るというものでした。立共政権の可能性が高まっていたら、法人税引き上げや金融所得課税導入のリスクから、28日は大暴落となっていたでしょう。石破茂首相の責任問題からアベノミクス信奉者の高市早苗前経済安保相の待望論が高まってきたことも株高材料に繋がっている可能性もある」
大型の経済対策に期待
勝敗ラインを「与党過半数維持」としていただけに、早くも石破茂首相は崖っぷちに立たされた。だが一方で、石破政権の巻き返しが株高に寄与する期待も高まっている。
「来夏には都議選と参院選が控えていますが、このままだと惨敗必至のため、石破氏は支持率回復のためにも大型の経済対策を打ち出してくる可能性が高い。その期待先行で日本株が買われている側面もある」(三井住友DSアセットマネジメント・市川雅浩チーフマーケットストラテジスト)