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「名前を変えるわけにはいかない」
男性スタッフはこう話す。
「ウチはとにかく、名前の『はやと』で訴えるようにしています。もちろん『鈴木隼人』でもいいんですけど、間違って書かれては困るので『はやと』を強調しています。戦況は拮抗しておりますので、皆さまにとにかく『名前』の方を知ってもらおうという戦略でやっています」
隼人氏の演説の聴衆の中にいた、文京区に住む会社員の男性(62)はこう話す。
「他の選挙区ならともかく、この区では『鈴木』とだけ書くとまずいんで、必ず、『はやと』まで書くように母にも言っています。うちの母は89歳になりますが、隼人さんは認知症対策で動いてくださっているので応援したい」
隼人氏は「鈴木」同士の対決をどう考えているのか。
「正直、私はあまり気にしていません。これまでフルネームで活動していますし、投票所へ行けば『自民党 鈴木隼人』と書いてあります。私はそういう心配はせず、とにかく自分の政策をお伝えすることに注力しています。むしろ、周りの方が心配してくれているんだと思います」
では、地元の有権者たちは「ダブル鈴木」が競う選挙戦をどう見ているのか。地元商店街で、時計屋を営む店主(87)はこう話す。
「私は党で選びます。どちらの鈴木さんにもお会いしたことがないですし。名前を変えるわけにはいかないからしょうがないね」
地元で米店を経営している女性店主もこう言う。
「正直、紛らわしいですよね。私はまだ、誰に入れるかは決めていません。投票所では下の名前をよく見ながら書きますよ」
果たして、どちらの「鈴木さん」に軍配が上がるのか。
なお、東京10区では、他に日本維新の会の永野裕子氏、参政党の安田伸氏が立候補している。
(AERA dot.編集部・上田耕司)