世界ランク1位の孫穎莎を破った張本美和(写真:VCG/アフロ)

一流選手は「お金が貯まっていく一方」と発言

 長らく、世界のトップ選手として日本を引っ張ってきた水谷隼さん(35)は、過去に「年収1億円」発言をして話題になったが、前述の「アジア卓球選手権大会」優勝メンバーや張本智和(21)、早田ひな(24)といったオリンピック出場選手については、複数の大手企業とスポンサー契約していることもあり、水谷さん同様に年収は「億超え」と見られている。

 ただ、「賞金」だけで見れば、日本最高峰の「全日本卓球選手権大会」でもシングルスの優勝賞金は100万円で、テニスの「全日本選手権」の優勝賞金400万円と比べても見劣りしてしまうし、世界のトッププロが集う国際大会の優勝賞金は1000万円以下で、テニスのグランドスラム大会の優勝賞金が5億円を超えるのと比較すると、スケールの違いは明らか。

 もしかすると、プロを目指そうとする子どもたちにとっては「夢がない」ようにも感じてしまうかもしれないが、支出面では他競技にはない大きなメリットもある。

「ナショナルチームに入るようなトップ選手になると、1年のうちの9カ月ほどを合宿や遠征で過ごすことになります。その食費や宿泊費は卓球協会が負担してくれるため、選手の出費が極端に少ない。水谷さんもよくYouTubeなどで『お金が貯まっていく一方』『あんまり卓球選手でお金に困ったって話を聞いたことがない』と語っていましたが、テニスのプロ選手は遠征する際の飛行機代やホテル代、ガット代、コーチ代など全て自腹ですから、かなりの厚遇とも言えますね」(前出のスポーツライター)

 それにしても、なぜ卓球だけがそれほどまでに“至れり尽くせり”なのだろうか。

 日本卓球協会から発表されている2023年度都道府県別加盟登録人数は計約30万人で、日本卓球協会傘下の都道府県の協会主催の大会には、個人や団体ごとに数千円の加盟料を支払っていないと出場ができない。

 また、世間的にあまり知られていないのが、「段級位制」である。“段位”と聞くと剣道や柔道などの武道のイメージが強いが、日本卓球協会では10段から5級まで15段階が設けられており、日本卓球協会主催の全国大会本戦に出場することで、「初段」を獲得することができる。出場選手のゼッケンに付いている数字は段位を表しているが、卓球をやっている人にとっては背中に“数字入りのゼッケン”をつけて試合をすることは憧れだろう。

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他競技の選手より恵まれた環境