追い打ちをかけるように、23日付の「赤旗」が、自民党が裏金事件に関与して衆院選で「非公認」とした候補者の政党支部に、党本部が政党助成金2000万円を支給していたことを報じた。非公認の裏金議員に、実質的に公認候補並みの選挙資金を支給していたというわけだ。
自民党の森山裕幹事長は、
「党勢拡大のための活動費として支給したもので、候補者に支給したものではない」
というコメントを急きょ出したが、苦しい言い訳に聞こえる。この「裏金議員へ2000万円支給」問題は、自民党にとって大きな一撃になりそうだ。
「動員しても人が来てくれない」
記者は20日の日曜日、石破首相が駆け付けた和歌山2区の街頭演説を取材した。自民党が二階俊博元幹事長の三男、二階伸康氏を擁立。裏金事件で自民党から処分を受けて離党し、無所属で立候補した元経済産業相の世耕弘成氏と激突する、全国屈指の注目選挙区だ。
石破首相が演説に来るため、自民党からは「1000人を動員する」との情報が聞こえていたが、実際には多く見ても300人ほどで、目立つのは警官と警備員ばかりだった。
自民党の和歌山県議はこう話す。
「石破首相がわざわざ和歌山2区まで来るのに、いくら呼びかけても『行きます』と返事してくれる人は10人のうち3、4人くらいしかいない。実際に来てくれたのは10人のうち1人か2人だ。日曜の朝という時間を割り引いても、告示のときと比較してあまりに反応が悪いので、和歌山2区というより今回の衆院選が危ないと感じましたね」
翌21日、石破首相の姿は、自民元職と維新前職が激戦をしている大阪4区にあった。
大阪市内の中心部にある広い公園が演説会場で、800人ほどが集まったが、自民党関係者はこう話す。
「石破首相のメンツを保たないといけないと大号令が出て、自民党より、公明党の大量動員でなんとか面目を保った。大阪4区の前に石破首相が入った大阪1区では、大阪一番の繫華街ミナミだったがもっと悲惨で、聴衆を囲む柵の内側がガラガラ。たぶん300人ほどだったと思います」
石破首相が和歌山や大阪で行った街頭演説を聞くと、裏金事件について、
「二度と起こさない」
などと語っていたが、それ以上突っ込んだ、徹底調査などへの言及はなかった。
自民党幹部は、こう話す。
「そういう演説が裏金事件を軽視しているという国民の批判につながっているのではないか。石破首相の演説でも、裏金事件への反省と今後の対応をさらに語るべきという意見もある」