党首討論に臨んだ石破首相(右)と立憲民主党の野田佳彦代表

国民民主や維新との連立も検討

 石破首相と森山幹事長らは21日夜、衆院選について協議し、情勢調査の数字が10ポイント差程度までで野党候補と競り合っている約40の小選挙区を「重点区」に置き、首相ら党幹部が応援に入ってテコ入れすることを決定した。

「10ポイント以上の差がついている小選挙区は捨てて、競っているところを確実にとる方針だ。石破首相は選挙戦最終日、数多くの小選挙区をまわるため東京だけに絞って7つの小選挙区で街頭演説することになった。石破首相ら幹部が行かない小選挙区から、『冷たい、ひどい』と抗議が来ている」(自民党幹部)

 また、この自民党幹部によれば、自公で過半数を獲得できない場合に備え、
「早急な無所属議員の取り込み、国民民主党との連立協議までが検討されている。大臣が落選した場合に備えての対応も急務となっている」

 だが、国民民主党の玉木雄一郎代表は22日、衆院選後に自民、公明両党の連立政権に加わる可能性を記者団に聞かれて、「ない」と否定した。

 自民幹部によると、連立交渉のターゲットとして維新も検討すべきという意見が出ているという。

立民幹部は「政権交代が現実味帯びた」

 一方、立憲民主党はメディアの情勢調査によると、30議席から50議席伸ばすという数字が出ている。朝日新聞(21日付)は、
〈立憲は、公示前の98議席から大幅に増加し、140議席が視野に入る〉
 と報じている。

「一気に政権交代も現実味を帯びてきた。メディア報道以上、150、160議席超という数字も視野にあるほど伸びている」

 と立憲民主党の幹部は手ごたえを語る。

 自民党の政務調査役を長く務めた政治評論家の田村重信氏は、

「石破首相の緊急通達はあまり例がないこと。この選挙では、急速な自公の落ち込みを感じています。裏金事件の解明に消極的な姿勢であることに加えて、本来、自民党がとれる票を新しい党にもっていかれていることでしょう」

 と分析する。「新しい党」とは、保守色を強く出している参政党や、今回初めて国政での議席獲得が有力視されている日本保守党だという。

「情勢調査でもこの2つの党の評価が高い。2つの党を支持する有権者はもともと自民党支持という方が大半なので、ダメージが大きい」(田村氏)

 自民党候補からは、悲鳴のような声が漏れている。

「投票日が来ていないのに、次の解散総選挙や石破首相の退陣までがささやかれて、とても衆院選の最中とは思えないほどバラバラな状況だ」

 首相就任からわずか8日後と戦後最短で衆院を解散して選挙に臨んだ石破首相。結局、何もしないうちに退くことになるのだろうか?

(AERA dot.編集部・今西憲之)

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