「お笑いだけでなく監督もできるし本も書けるという点では大本命。ただ、たけしイズムを継承し、時事ネタにも強く、より深く芸道を突き進んでいるという意味では、爆笑問題の太田さんも外せません。そういった意味で、今回の火薬田ドンで劇団ひとりさんを後継者に選んだというのは、コントとはいえ決して無視できないターニングポイントだったような気がしますね」(前出の放送作家)

 もっとも、劇団ひとりの“たけし愛”は有名なところだろう。

「劇団ひとりさんは両親の仕事の関係で、小学生のときは3年間、米アラスカに住んでいました。そのとき、日本の友達が送ってくれた『オレたちひょうきん族』のビデオテープを擦り切れるほど見続けたというエピソードは有名です。たけしさんの番組で芸人デビューのきっかけをつかみ、太田プロに所属したのも『たけしさんの後を追いたかったから』と本人が認めています。Netflixで話題となった映画『浅草キッド』も、たけしさんが映像化する意思がないことを確認してから、14年ごろに自分で脚本を書き始めたそうです。その後、正式にご本人から映像化の許可をもらい、クランクイン直前まで書き直していたそうですから、ものすごい執念を感じます。そもそも、他の芸人ならたけしさんの自叙伝『浅草キッド』に手を出そうなんて思わない。憧れの人の伝説の作品に正面から真っ向勝負し、高い評価を得たのは、劇団ひとりさんだからこそできたと思います」(前出の放送作家)

テレビタレントとしては頭打ち!?

“ポストたけし”と本命視され、次なる展開も期待されている劇団ひとり。民放テレビ局のプロデューサーは彼の今後をこう期待する。

「たしかに劇団ひとりさんはたけしさんに最も近い存在で、後継者として頭一つ抜きん出ています。しかし、彼もすでに芸歴30年のベテランで、テレビタレントとしては頭打ち状態ともいえる。例えば、バカリズムさんや爆笑問題の太田さんは継続して脚本や小説を書き続け、作品を量産していますが、劇団ひとりさんにはそれがない。芸人としてもずば抜けた才能の持ち主ですが、今後はパフォーマーとしてもっと高みを目指すのか、映画や小説を量産していくのか、そろそろどちらかに本腰を入れるタイミングなのではないかと思います。逆に言うと、どちらも高水準でできてしまう器用さが、彼の最大の強みでもあり、弱点かもしれません。8月11日からDMM TVで『横道ドラゴン』という大半がアドリブで進行するサスペンス仕立てのバラエティー企画が始まります。ここで久々にパフォーマーとしてのすごみを見せつけてほしいですね」

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「自分以外には適任はいない」