360度の気配りに関して、西出氏が見逃さなかったのが、11日に訪れた佐賀県立佐賀城本丸歴史館での愛子さまの一瞬の会釈だ。報道された映像などで確認できるが、愛子さまが遠くのほうに視線を送り会釈される。このとっさの会釈に西出氏はこう話す。
「愛子さまは右側から左側(映像画面から見ると左から右)に移動するときに視線を遠くの方に送り、会釈をされていました。想像するにカメラマンの方々や職員、警備の方々に対してでしょうか。距離はあってもその方々の前を横切るので、きちんと会釈をなさったのです。その場にいらっしゃるすべての人たちに対する360度の気配りがあるからこそだと感じました。常日ごろ話していますが、マナーは相手に対する思いやりや敬いなどの気持ち、心を型で表現すること。目の前にいる人に対しての会釈は、型としてやるだけなら簡単なことかもしれません。しかし、少し離れたところにいる人には意識がいかない。愛子さまはその場にいたみなさんに対して、気配り、心配りができていらして、素晴らしいと思いました」
愛子さまの雅子さま譲りな姿
愛子さまは、初のおひとりでの地方公務に対して「緊張しています」と佐賀空港に降り立ったときに話していたそうだ。360度の気配りができているからか、こちらも微笑んでしまうような柔らかい笑顔とその堂々とした姿には、「初めての」ということを忘れさせる安心感すらあった。
そんな姿に西出氏は「雅子さま譲り」だと指摘する。
「母である皇后陛下雅子さまと同様にコミュニケーション能力に長けていらっしゃいますね。いま、若い世代は対面のコミュニケーションを苦手とされる人も少なくないですが、愛子さまは本当に自然体で会話をなさっていると感じます。相手の方たちは愛子さまより年上の方が多かったにもかかわらず、スーッと自然に会話に入っていかれ、笑顔でお話が弾んでいらっしゃる場面も多く見受けられました。20代前半の愛子さまが、気負うことなく会話をなさるお姿から、コミュニケーションの大切さや楽しさを教えていただいた気持ちになりました。本当に素晴らしいとしか言いようがないお姿でした」
愛子さまが国民から愛される理由を再発見した思いだ。(AERA dot.編集部・太田裕子)