最年少候補の自民・大空氏「長い目で見てもらえる議員に」
今回、15区で最年少の候補者は、自民党公認の新顔、大空幸星氏(25)だ。孤独・孤立を感じる人からの相談を、24時間365日オンラインのチャット機能で受け付けるNPO法人「あなたのいばしょ」(港区)の理事長を務める。
全国の自治体とも連携するなど、メディアでも大きく取り上げられており、Z世代からも注目される存在だ。20代の候補者はどんな選挙戦略を考えているのか。まず、大空氏と一緒に演説に来ていた区議に尋ねると、「握手」との答え。意外な感じがした。
実際、大空氏は演説の現場に到着すると、すぐに同世代のスタッフとともに選挙カーから降りて一人ひとりにあいさつし、握手を始めた。止まっている人、通りゆく人関係なくだ。
「SNS戦略とかそういうのも大事です。若者らしいし、どこにも負けない自信もあります。が、自分の基礎は草の根的なものが主。まずはそこを大事にしたい。その中で妊婦の方や子育て中の方など、演説などに来にくいという人たちに届くツールとしてSNSを使っていきたい」
選挙ポスターにも最年少の文字を掲げ、「若さ」を強みとして全面に押し出す一方、政策面では「若者向きという色は出さないようにしている」と語る。
「今までやってきたような相談支援も、始まりは自分の大学生時代でしたが、若者中心でやってきたわけではありません。孤独、孤立で悩んでいる人は高齢の人が多いし、子どもからお年寄りまで悩みを抱えなくてもよい社会を目指す、というのが自分の政策の柱です。若い人が若い人に向けた政策をやるのって、当たり前の話です」
政策面でも若者向け、高齢者向けという分け方はしないという。
「年金制度改革や社会保障の改革などは、“高齢者優遇”だとか“若者冷遇”などの世代間対立の議論になりがちです。でも、その制度や保障は、若者も高齢者も例外なものなんてないんです。『若者から見た高齢者』といった視点を入れて、政策や改革の議論を世代間でフラットにしたい。若者にも、『結局周りめぐって自分たちにも影響あるよね』ってことを伝えたいし、今改革しなきゃダメってことを高齢者にも伝えたい。私だからできることだと思います」
しかし、街の有権者を取材するなかで、Z世代の知名度はある一方、中高年からは「若すぎる」「誰?」という冷めた声も多く聞かれた。こうした点について大空氏に問うと、
「“逆風”という感覚はないです。政治不信が続いている選挙区ということもあり、厳しい言葉もいただいた。でも、だからこそ、『25歳、しがらみ無く新しい立場でやる人が地域に根差して頑張らなければいけない』と言いたい。仮に議員として20年使っても45歳。今の若手と呼ばれる議員と同じ年齢です。この江東区で、孫やせがれのように使ってもらい、育ててもらえる、長い目で見てもらえるような議員でありたい」
と語った。
※15区には他にも、無所属新顔の金澤ゆい氏(34)、共産党新顔の小堤東氏(35)が立候補している。
(AERA dot.編集部・小山歩)
大空氏は今回、自民党の公募で選ばれた。なぜ自民党からだったのか。その答えは、【さらに読む】“弱者の味方”だった「大空幸星氏」に自民党から立候補した理由を直撃 「野党は何もしてくれなかった」【激戦東京15区ルポ】で語っている。