「政治とカネ」の問題が一番の争点となる東京15区の候補者たち=24年10月、小山歩撮影
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「政治とカネ」の問題が大きな争点となっている今回の総選挙。東京15区(江東区)はまさにカネの問題で議員が辞職した“象徴的”な選挙区だ。4月の補選では、自民党は候補者擁立を断念し、立憲民主党の酒井菜摘氏(35)が勝ち取った。あれから約半年ほどで再びの選挙戦は、補選から引き続き立候補した3人に、新たな顔ぶれ2人の計5人。そして、年齢は25~45歳と若い。激戦区の主な候補者の動きを追った。

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立憲・酒井菜摘氏「共闘できなかったことは残念」

 17日、江東区豊洲のホームセンター前はものものしい雰囲気に包まれていた。

 立憲民主党の前職、酒井氏の演説会場。この日は新代表で元首相の野田佳彦氏が応援に駆け付けるとあり、厳重な警備態勢が敷かれていた。記者が取材ブースに入る際にも二重の手荷物チェックを受けるなど、ブースにいたベテラン記者らも驚いた様子だった。

 2021年7月に奈良県で選挙応援中に安倍晋三首相(当時)が銃撃された事件や、昨年4月に和歌山県で選挙演説中の岸田文雄首相(当時)に殺傷能力のある爆発物が投げ込まれた殺人未遂事件などが影響しているようだ。

 酒井氏の演説が始まるころ、会場には約200人(陣営発表)の聴衆が集まっていた。酒井氏は開口一番、こう話した。

「今回の解散を石破総理の“裏金隠し解散”と呼んでいますが、4月に国政に送り出していただいてびっくりしたことは、与党は全然約束を守らないということです」

 4月の衆院15区補選。酒井氏は、過去最多の9人が立候補する激戦を制して初当選した。この補選は、選挙違反事件で有罪となった自民党議員の辞職に伴うもので、立憲は共産党と共闘するなど自民党への批判票の受け皿となり、多くの票を獲得できたとの分析もある。今回、野党共闘は実現せず、自民も公募の新顔候補で戦う。補選ほどの票を見込めるかは未知数だ。

 演説後、この点について報道陣に聞かれた酒井氏は、

「共闘できなかったのはとても残念に思っています。しかし、共産党以外の野党の皆さんから推薦やご支援をいただいていますので、引き続き関係の構築を進めていきたいと考えています」

 と述べるにとどめた。

 江東区議出身の酒井氏だが、それ以前は看護師、助産師を務めてきた。女性の権利や教育無償化など教育格差の解消を訴える。

「政府の掲げる異次元の少子化対策。全然私たちに恩恵はありません。現在の家族に合った子育て支援を、5人の(候補者の)中で唯一、ママの目線を持つ私が、変えていきたいと思います」

 酒井氏といえば、補選ではつばさの党による妨害で、カーチェイスまがいの“あおり”も受け、街頭演説する機会が失われていたことを思い出す。

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