その点についてはこう語る。

「前回の選挙が異質だったというか……。しっかりと自分の主張ができる選挙であることに感謝しています」

* * *

クリーンさを訴える須藤氏「やりきっている」

 酒井氏に先立ち、この日の朝7:30。豊洲駅前では、ひときわ体の大きな候補者があいさつをしていた。元格闘家で元参院議員の新顔、須藤元気氏(46)だ。4月の補選では、参院の任期途中での転身を目指したが、酒井氏の次点で敗れた。

 立憲民主党に所属していたが、今回は無所属での出馬。地元出身を押し出した選挙戦は補選のときと一緒だ。「マイカーです」という“ママチャリ“に電飾をつけ、光らせながら選挙区をくまなく走る。

 この前日、取材しようと門前仲町の駅付近で待っていたら、きらびやかなママチャリが視界に入った。近づいて止めようと思ったが、瞬く間に走り去られてしまい、今回の豊洲でようやく話が聞けた。

「前回の補選が終わった次の日から『どぶ板』活動をずっと続けているので、走りすぎなのか、すでに自転車はボロボロ。何回もDIYで直しているんです」

 須藤氏は、「政治とカネ」とは無縁であることを強調し、政治への信頼の回復とともに、消費税の減税や非正規雇用の格差解消などを訴える。

「おそらく、私は全国で一番お金がかかっていない候補者だと思う。供託金を除いたら180万程度。今の私のように、お金をかけないで選挙に勝つということが、(その後)選挙制度すらも変えられると思っています」

 そう話し、こう続けた。

「悔しいんですよ。こうやって街を隅から隅まで回って、生活が本当に苦しい人だって見てきた。非正規の人たちの苦しさも聞いてきた。税金とか皆さんたくさん払っているけど、それが企業や議員に流れている現状。『悔しい』の一言です」

 須藤氏は、46歳。世間では中堅だが、この15区の候補者の中では最年長だ。この選挙区にはZ世代の代表とも呼ばれる20代の若手候補者もいる。若手、ベテランなど候補者の年齢を考慮した選挙戦略などがあるのか聞いたところ、「やることに変わりはない」という。

「半年、欠かさずやってきた『どぶ板』しかないと思っています。一人ひとりの有権者と会って直接話を聞いて、という方法以外にない。無所属は何かと不利と言われます。情勢調査とかは見ていないので、自分のやってきたことを信じて、ずっとそれを続ける。それでだめだったらしょうがない、というくらいやり切っていますし、やり切りたいと思っています」

 須藤氏はこう話すと、またさっそうと走り去っていった。

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