マイナビの合同企業説明会に集まった学生たち。売り手市場の就活は果たして楽なのか(写真:横関一浩)
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 学生の就職活動で「売り手市場」が続く中、あらゆる業界から求められているのが理系学生だ。背景に何があるのか。AERA 2024年10月21日号より。

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 就職活動版の「今年の漢字」。マイナビが25年卒の就活生に聞いたところ、文系男子・文系女子の1位は「苦」だったが、理系男子・理系女子は「楽」が1位だった。

 10月上旬のマイナビ主催の合同企業説明会。ブースを回っていた都内の私立大学薬学部3年生の女子学生は、「周りの文系の子は『インターンの選考を通過できない』と言って大変そう。理系は研究室つながりもあるし、自由応募でも研究に打ち込んでいれば大学名を見られないこともあるみたい」と教えてくれた。

 まさに今、理系学生は「売り手市場」だ。

 大学通信の24年有名企業400社の実就職率ランキングを見てみよう。これは母数を就職希望者に限らずに、シンプルに「卒業生から大学院などへの進学者と海外留学者を引いた人数」のうちの「就職者数」の割合を出したもので、各大学の就職状況がよりリアルにわかる。

 1位はトヨタ自動車にゆかりのある豊田工業大で、2位は東京工業大(現・東京科学大)、3位は一橋大、4位は名古屋工業大、5位は東京理科大。上位のほとんどを理工系大学が占めた。キャリタスの上席研究員の武井房子さんは、あらゆる業界が理系学生を求めていると話す。

「ITエンジニア関連をはじめさまざまな職種で、理系学生が取り合いになっています。就職氷河期だったら、業界研究が浅いと不採用になりやすいですが、今は売り手市場なので業界研究が十分にできていなくても簡単に落ちなくなってもいます」

研究で培った素養

 理系私大のトップ、東京理科大のキャリア支援センター長の河合武司教授は「コンサルはデータサイエンスの素養が必要です。メガバンク等の金融機関にもITシステムの職種を中心に入社する学生が増えています」と話す。

 同大からは、金融の他、商社やマスコミなどの文系就職と言われる業種にも一定数の学生が就職。企業側からは「数学ができて、コミュニケーション能力がある学生がほしい」という売り込みが多数あるという。

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